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(1)名詞句に使用された名詞とその意味属性

「の型名詞句」の標本1万件で使用されている名詞$A,B,C$の意味属性を集計 した結果を表1に示す.この表で,「深さ」の欄は,意味属性体系上,該当する 意味属性が,トップノードから何番目の深さにあるかを示す.数値が大きくなる につれて,該当する名詞の意味の粒度が小さくなる.

表1 名詞と意味属性の関係
名詞$A$ 名詞 $B$ 名詞$C$
深さ 意味属性 異なり 適用度数 異なり 適用度数 異な り 適用度数
の総数 属性数 属性数 属性数
0 1 1 9 0 0 1 3
1 2 0 0 0 0 0 0
2 6 2 11 0 0 2 292
3 21 12 82 13 102 12 216
4 106 56 1,580 57 843 60 871
5 256 129 1,069 161 1,973 156 3,096
6 536 219 2,051 263 2,099 244 2,354
7 827 272 2,689 382 2,275 349 1,473
8 687 262 2,020 354 2,020 307 1,272
9 211 78 474 99 653 86 403
10 40 6 7 9 24 8 16
11 16 6 8 7 11 4 4
2,709 1,063 10,000 1,345 10,000 1,231 10,000

これより,以下のことが分かる.

  1. 使用された意味属性は,いずれの名詞の場合も意味属性全体の半分以下であり, 意味的に見て,名詞の種類全体をカバーする範囲にはない.
  2. 使用された意味属性当たりの標本数は,平均7〜10件である.
  3. 名詞$C$は,名詞$A,B$に比べて,浅い意味属性の名詞,すなわち,粒度の大き い名詞が使用される傾向がある.

ここで,木構造上のノード(意味属性)に対応した構造規則が生成されることを 考えると,2)より,ほぼ7〜10件程度の事例から1構造規則が生成されると見込 まれる[*] .その場合,規則生成の対象となるノードが反事例を持たないとすると, 得られる規則の精度は,約$80\%$以上となることが期待できる.また,3)は,名詞 句「$AのBのC$」において,名詞$C$の意味は,名詞$A$または名詞$B$によって限定 されることの多いことを物語っている.


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Jin'ichi Murakami 平成13年1月17日