おわりに

本研究ではBERTを用いて対義語の使い分けを行い,その結果を用い対義語対の置き換え可否の判定を行った.本研究の成果は2つある.

第1の成果として,機械学習の性能が高ければ置き換え不可能であり,機械学習の性能が低ければ置き換え可能であるという,機械学習の性能と置き換え可否に逆の相関があることが, 佐々本ら[3]の最大エントロピー法と同様にBERTでも確認できた.

第2の成果として,BERTの性能と被験者実験の置き換え可否の傾向が一致したものや一致しなかったものについて機械学習の素性を分析した.その結果,それぞれの対義語における有用な知見を獲得した. 例えば「進む」は「向かう」の意味で使われ, 「遅れる」の対義語として使われておらず, 多義性があることが分かった. また,機械学習の性能と置き換え可否の被験者実験を比較した結果置き換え可の値が高くなる条件と置き換え可の値が低くなる条件が, 佐々本ら[3]と同様に確認できた. 置き換え可の値が高くなる条件を以下に示す.

また,置き換え可の値が低くなる条件を以下に示す.