結果として,人手で作成した対訳句を用いた手法の評価では,ベースラインの方が正確であると評価された文が出力文100文中14文であるのに対して,人手で作成した対訳句を追加する手法の方が正確であると評価された文が44文となった.また,自動で作成した対訳句を用いた手法では,ベースラインの方が正確であると評価された文が出力文100文中 10文 であるのに対して,自動で作成した対訳句を追加する手法の方が正確であると評価された文が 29文 となった.これより,ベースラインと比較して対訳句を追加する2つの手法では翻訳精度が向上への有効性が確認された.本研究で用いた2種類の対訳句はいずれも対訳文から作成され,対訳文外の語彙などの情報を有しないものである.したがって,対訳句を追加することにより,NMTにおいて語句の対応をモデル化するAttentionが強化されたため,翻訳精度が向上したと考えられる.
今後はより高精度かつ多量の対訳句を得る手法や,提案手法を他のニューラル機械翻訳システムと組み合わせた手法を検討し,更なる翻訳精度の向上を試みたい.