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「がっかり」「がっくり」

(正解例1)
私は300枚近い年賀状を調べましたが、当選はお年玉切手シートがもらえる4等の3枚だけで、少しがっかりしました。
(正解例2)
三位を表示する電光掲示板にがっくりと肩を落とした。
(誤り例1)
おかしいやないか」と“抗議”する人もいるが、新型導入の説明を聞きがっかり(がっくり)しているという。
(誤り例2)
工場誘致に期待をかけてきた旧東独ドレスデンの関係者はがっくり(がっかり)。

5.22に類義語の組「がっかり」「がっくり」の機械学習の分類結果を示す. 表5.23に類義語の組「がっかり」「がっくり」の有意差検定に基づいた機械学習が参考にした素性を示す. 表5.24に類義語の組「がっかり」「がっくり」の正規化α値に基づいた機械学習が参考にした素性を示す.




表 5.22: 「がっかり」「がっくり」の分類結果
  データ数 再現率 適合率 F値
がっかり 285 0.84 0.82 0.83
がっくり 285 0.81 0.83 0.82
総数 570 0.82 0.82 0.82




表 5.23: 機械学習が参考にした素性(有意差検定:「がっかり」「がっくり」)
がっかり がっくり        
素性 頻度(p値) 素性  頻度(p値)      
素性31:する 230 素性2:と(直後)  56      
  ( $ 1.67\times10^{-26}$ )    ( $ 1.39\times10^{-17}$ )      
素性2:し(直後) 168 素性1:肩  57      
  ( $ 6.96\times10^{-22}$ )    ( $ 3.82\times10^{-11}$ )      
素性34:ようだ 11 素性31:落とす  54      
  ( $ 4.88\times10^{-4}$ )    ( $ 4.07\times10^{-13}$ )      
素性2:少し(直前) 6 素性31:くる  24      
  ( $ 1.56\times10^{-2}$ )    ( $ 5.96\times10^{-8}$ )      
素性2:ので(直前) 6 素性2:き(直後)  22      
  ( $ 1.56\times10^{-2}$ )    ( $ 2.38\times10^{-7}$ )      




表 5.24: 機械学習が参考にした素性(正規化α値:「がっかり」「がっくり」)
がっかり がっくり
素性 正規化 $ \alpha $ 素性 正規化 $ \alpha $
素性7:だ 0.60 素性1:肩 0.72
素性2:する(直後) 0.56 素性1:力 0.69
素性2:本当に(直前) 0.55 素性34:句点 0.69
素性2:大変(直前) 0.54 素性2:気持ち(3単語後) 0.65
素性2:あんなに(直前) 0.52 素性2:で(直前) 0.62

「がっくり」は,「がっくりと肩を落とす」や「がっくり来た」「がっくりとくる」というような表現が多かった. 「がっかり」は,「少し」「大変」など程度を表す語が前に来やすいことが分かった.

また,文献[6]によると以下のように書かれている.

 「がっかり」も「がっくり」もともに落胆する様子です. 「がっかり」は,精神的な状態だけを表すので,その失望感が外からは見えにくい. それに対して,「がっくり」は,精神的な状態が首を垂れるとか肩を落とすなどの動作として外にまで現れています. だから,「がっかり」はすぐ立ち直れそうな感じがするのに対して,「がっくり」はなかなか立ち直れない感じがする.

文献[6]と素性分析の結果を比較し同じ結果となったことを以下に示す.「がっくり」は「肩を落とす」などの動作として外にまで現れるという点が同じであった.

文献に載っておらず,素性分析から新たにわかったことを以下に示す.「がっかり」は「がっかりだ」や「少し」「大変」などの程度を表す語と併せて使われやすく,「がっくり」は直後に「と」が来ることが多く,「がっくり来る」という表現が多いことも新たにわかった.

文献に載っているが素性分析からは得られなかったことを以下に示す.「がっくり」の「首を垂れる」という表現は素性分析からはわからなかった.


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root 2018-02-28