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再現率高の例「書き込む」と「書き入れる」

(正解例1)
膨大なデータもパソコンなら、一枚のCD・ROM(読み出し専用メモリー)に書き込むことができるという。
(正解例2)
筆で一つ一つ模様や献灯者名を書き入れるなど細やかな手作業が続いている。
(誤り例1)
書き入れる予定がぐっと少なくなり、白紙が目立つ手帳をながめ、「五十代になった時に何をやっているかだ」と言う。




表 7.13: 機械学習の結果(再現率高の例:「書き込む」と「書き入れる」)
  再現率 適合率 総数
書き込む 1.00 0.99 507
書き入れる 0.93 1.00 29




表 7.14: 機械学習が参考にした素性(再現率高の例:「書き込む」と「書き入れる」)
書き込む 書き入れる
素性 正規化 22#22 素性 正規化 22#22
素性1:UNIGRAM 0.83 素性1:修飾先が名詞 0.57
素性1:を 0.60 素性1:筆 0.55
素性1:欄 0.52 素性1:予定 0.52

再現率高の例として,「書き込む」と「書き入れる」という対がある. これらの語は両方,EDR日本語単語辞書で概念識別子に3d06fcが与えられており, EDR概念辞書によるとこの識別子は「本や台帳や紙切れに書き込みを入れる」を意味する.

7.14のUNIGRAMと表7.13の総数の差より,「書き込む」は「書き入れる」に比べてかなり一般的であると言え,たいていの場合は「書き込む」を使う.また,正解例1のようにCDなどで記録を残す場合は「書き込む」としか表現しない.一方,「書き入れる」は「筆」の場合や「予定」といった書き加えるものが対象の場合に使われる. これらより,この類義語対は使い分けが必要だと言える.



2018-03-09