判断理由として用いた3つの条件から,ノード対とそのリンク情報を見ることで,登場人物の特徴,2人の登場人物の関係性,物語における有益な情報のいずれかを獲得が可能であると確認できた.
特に上位の階層に登場人物のノードが多く出現していることから,その人物の特徴について多く獲得できた.登場人物の特徴を掴むことで,物語の大枠を捉えられる可能性もあるため読書支援にも有効であると考えられる.
また,入力データを「銀河鉄道の夜」とした場合に,「カム」「パネル」というノード対が出現した.この物語には「カムパネルラ」という人物が登場する.「カム」「パネル」というノード対は人物の名前を説明しているとも捉えられる.リンク情報として「では●カム●■パネル■ラさん」という文が得られたことからも,判断理由1bを満たし,有益なノード対とすることも考えられる.しかし,本来は「カムパネルラ」という人物が「カム」「パネル」のように2つに分かれてノードとして出現することは避けたいと考えたため,今回の実験では有益なノード対としては除外した.このような,名詞が連続した単語は連結して,1つのノードとして単語ネットワークに出力することで,より正確な情報を取得できると考えられる.実装に伴い,名詞連続の連結により,連結前の単語のDFの値に変化が生じることなど,問題が発生する恐れがあるため,連結,非連結の場合の単語ネットワーク出力結果を比較し,どちらが有効かを確認する必要があると考え,今後の課題としたい.
その他の課題として,実験に用いた,判断理由3については,実験者の主観による部分が反映され,曖昧性を生む可能性があるため,実験者を増やして実験を行うことが考えられる.