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目次
本研究では,SemEval2の対象単語50個のうち動詞「考える」「認める」「やる」「見る」「持つ」の計5個を実験に使用する単語(多義語)とする.これらの動詞は,SemEval2の対象単語50個のうちランダムに取り出した10個に含まれていた動詞を実験対象の多義語とした.言い換えに利用する単語には,語義を特徴付けたものを人手で選定する.
「考える」についての選定例を示す.
岩波国語辞典では「考える」という単語の語義は以下の2つがある.
- 語義1:あれやこれやと思いをめぐらす。その事について、心を知的に使って判断する。
- 語義2:新たなものをくふうする。考案する。
「考える」の場合,語義1を「判断する」,語義2を「考案する」とした.
「認める」についての選定例を示す.
岩波国語辞典では「認める」という単語の語義は以下の4つがある.
- 語義1:目にとめる。有ることが確かだと見てとる。
- 語義2:見て判断する。
- 語義3:間違いないと判断する。差し支えないとして、許可する。
- 語義4:見どころがあるものとして、目にとめる。
「認める」の場合,語義4は辞典の語義から選定できなかったので,この語義から人が思いつく語を選定した.語義1を「見て取る」,語義2を「判断する」,語義3を「許可する」,語義4は「評価する」とした.
「やる」についての選定例を示す.
岩波国語辞典では「やる」という単語の語義は以下の4つがある.
- 語義1:一方から他方へ移らせる。行かせる。進ませる。▽先方の事情が(はっきりとは)分からない時に差し向けるという気持を伴うことも多い。先方に構わずにす
るという気持の場合もある。思いを晴らす。
- 語義2:(同等以下のものに)与える。
- 語義3:《動詞連用形+助詞「て」を受けて》(恩恵的に)他人のために…する意を表す。(怒り・憎しみの気持で)進んで相手に不利益を与える意を表す。やけになってする意を表す。
- 語義4:みずから(進んで)する。
また、みずからの意志によらない(好ましくない)ことについても、わが身に引き取っ
て、それがあたかも自分の意志の結果であるかのように表現することがある。▽本来は、うまくゆくかどうか分からない事をあえてする時に言う。
「やる」の場合,語義3は辞典の語義から選定できなかったので,この語義から人が思いつく語を選定した.語義1を「行かせる」,語義2を「与える」,語義3を「あげる」,語義4は「する」とした.
「持つ」についての選定例を示す.
岩波国語辞典では「持つ」という単語の語義は以下の4つがある.
- 語義1:手に取る。
- 語義2:自分のものにする。所持する。身につける。所有する。心にいだく。身にそなえる。担任する。受け持つ。負担する。
- 語義3:成り立たせる。有する。保つ。
- 語義4:五自状態・品質・働きが長い間変わらないで保たれる。
「持つ」の場合,語義4は辞典の語義から選定できなかったので,この語義から人が思いつく語を選定した.語義1を「取る」,語義2を「所持する」,語義3を「保つ」,語義4は「続く」とした.
岩波国語辞典では「見る」という単語の語義は以下の4つがある.
- 語義1:視覚を働かして、ものの存在・形・様子・内容をとらえる。目で認める。
- 語義2:視覚に限らず広く、感覚を働かして、探りとらえる。感覚でとらえたものについ
て、判断・評価をする。
- 語義3:《「…と―」の形で》…と考える。理解する。推定する。見積もる。
- 語義4:様子を見て世話をする。取り扱う。行う。
- 語義5:《動詞の連用形に助詞の「て」の付いた形を受けて》ためしに…する。《「…してみると」「…してみたら」「…してみれば」の形で》…すると。…したところが。
「見る」の場合,語義5は辞典の語義から選定できなかったので,この語義から人が思いつく語を選定した.語義1を「とらえる」,語義2を「判断する」,語義3を「考える」,語義4は「世話する」,語義5を「いる」とした.
Yuma Toda
2018-02-27