単語の選定(名詞)

本研究では，SemEval2の対象単語50個のうち名詞「はじめ」「市場」「電話」「意味」「前」「子供」の計6個を実験に使用する単語(多義語)とする．これらの名詞は，SemEval2の対象単語50個のうちランダムに取り出した10個に含まれていた名詞を実験対象の多義語とした．言い換えに利用する単語には，語義を特徴付けたものを人手で選定する．

「はじめ」についての選定例を示す． 岩波国語辞典では「子供」という単語の語義は以下の2つがある．

• 語義1:物事ははじまった段階。それをし始めた、またはそれに関係を持った時。最初のころ。物事の起こり。最初の部分。
• 語義2:《「…を―」「…を―とする」の形で》多くあるものの中で前のもの。先のもの。また、おもだったものをあげる言葉。

「はじめ」の場合，語義2は，辞典の語義から選定できなかったので，この語義から人が思いつく語を選定した．語義1を「最初」，語義2を「主」とした．

「市場」についての選定例を示す． 岩波国語辞典では「市場」という単語の語義は以下の3つがある．

• 語義1:いちば。
• 語義2:売行き先。
• 語義3:〔経済〕売手と買手とが規則的に出会って。取引を行う組織。

「市場」の場合，語義1と語義2は，辞典の語義から選定できなかったので，この語義から人が思いつく語を選定した．語義1を「売り場」，語義2を「販路」，語義3を「取引」とした．

「電話」についての選定例を示す． 岩波国語辞典では「電話」という単語の語義は以下の2つがある．

• 語義1:電話機による通話。
• 語義2:「電話機」の略。

「電話」の場合，語義1を「通話」，語義2を「電話機」とした．

「意味」の選定は，2.2節で示したように語義1を「内容」，語義2を「動機」，語義3を「価値」とした．

「前」についての選定例を示す． 岩波国語辞典では「前」という単語の語義は以下の2つがある．

• 語義1:視線・顔が向いている方。空間的に、後ろ・横でない方向や場所。貴人のおん前の意で貴人をさしたことから、身分の高い女性の名に添えた語。
• 語義2:順序が先の方。本体より先。時間的に早い方。現在に先立つ（ある）時。

「前」の場合，語義1は，辞典の語義から選定できなかったので，この語義から人が思いつく語を選定した．語義1を「方向」，語義2を「先」とした．

「子供」についての選定例を示す． 岩波国語辞典では「子供」という単語の語義は以下の2つがある．

• 語義1:幼い子。児童。
• 語義2:自分のもうけた子。むすこ、むすめ。子。

「子供」の場合，語義1を「児童」，語義2を「息子」とした．