next up previous contents
Next: 謝辞 Up: honron Previous: 文章作成支援方式の利便性向上   目次

おわりに

本研究では, 記載不備論文の自動検出手法として先行手法のルールベース手法と比較手法として提案した機械学習手法の比較を行った. その結果, どの記載必要項目においても機械学習手法と比べてルールベース手法のほうが検出精度が高く, 先行手法であるルールベース手法の有効性を確認できた.

さらに, 記載不備論文の修正に役立つ修正パターンを獲得するために論文の記載必要項目「目的」「問題点」について人手で修正を行い, 得られた修正文を単語連続頻度調査と階層クラスタリングを用いて分析を行った. その結果, 記載必要項目「目的」であれば26文の修正文から「〜を目的として〜」「〜という問題を解消する〜」, 記載必要項目「問題点」であれば16文の修正文から「〜という問題がある」「〜という問題が発生する」などの修正パターンが獲得できた.

単語連続頻度調査により得られた修正パターンと階層クラスタリングにより得られた修正パターンを比較すると, 単語頻度調査により得られた修正パターンにのみ「〜するために〜」があることが分かった. このことから, 階層クラスタリングによる分析より単語頻度調査による分析のほうが単純でより良い修正パターンが獲得できることが分かった. また, 階層クラスタリングによる分析は, 修正文全体の傾向を把握し, 修正パターンを獲得するのに適していることが分かった.

今回の分析で得られた結果を使って, 記載必要項目が欠落している論文の著者に対して修正パターンを掲示する修正のヒント出力方式を考案した. この方式により, 記載必要項目が欠落しているか否かとその修正方法が掲示されるため, 論文著者の確認作業や修正作業が軽減できると考える. 修正のヒント出力方式をより良くするためには, 論文の欠落箇所をピンポイントで指摘する技術が必要であると考える. 現状では, 論文の欠落箇所の指摘できる段階ではないので, 今後の課題として取り組む.



2017-02-24