図4.1の論文は1節の「はじめに」の部分を全て引用している. 質問応答システムに関する研究であるが, 何のために質問応答システムの研究を行うか書かれておらず, 記載必要項目「目的」について理解ができない. よって研究の目的を明記する必要がある(記載必要項目を補う必要がある)と考え, 記載不備論文の検出に成功したと判別した.
図4.2の論文において, 読み手が想像する研究の目的として以下のものが挙げられる.
この例の研究では, 文パターン辞書の開発にコストがかかるという問題点を解消することを目的としていると考えられる. この論文内に「Xという問題点がある. そこで本研究ではYを行う」という文章が存在していることがわかる. このような文章は前に記述された問題点の解消を行うことを目的として研究を行っていることが容易に理解できる文章が使われている論文であると考える.
記載必要項目「問題点」というのは先行研究の問題点や研究の背景を差している. 図4.3の論文では, 先行研究について述べられており, さらに研究の有効性も記述されている. しかし, 先行研究の手法の概要のみを記述しており, 先行研究で生じた問題についての記述が存在していない. 仮に先行研究で問題が生じていなかったと考えても, その場合は先行研究の手法の概要と先行研究との明確な違いを記述する必要があると考える.
研究の背景として「近年, 評判分析の対象として, Twitterが注目されている. 」とあるが, この例の文章であると何故Twitterが評判分析の対象として注目されているかが理解し難いと考える.
図4.4の論文では, マイクロブログを用いた情報発信が活発化して様々な利点が生まれたが, その反面として多くの流言が発生してしまい, それが原因で適切な情報共有ができなくなるという問題点が説明されている. この論文では, 「ある事象Aがあります. 事象Aにより○○のようなメリットが存在します. しかし, その反面で××というデメリットも存在してしまいます. 」という文章が使われていることがわかる. 研究の背景としてある事象を例として利点を挙げ, その後に欠点を記述することにより何が利点で何が欠点なのかが容易に理解できる文章が使われている論文であると考える.