三浦ら[7][8]は教師あり機械学習を用いて 副助詞「は」と格助詞「が」の使い分けや, 格助詞「に」「へ」「を」「で」の使い分けを行った. 「は」「が」の使い分けを0.76の正解率で行うことができ, また, その使い分けに役立つ表現を獲得した.
林ら[6]は教師あり機械学習を用いて文の順序推定を行った. 比較手法として用いた確率モデルに基づく従来手法での正解率が0.58から0.61であるのに対し, 林らの提案手法での正解率は0.72から0.77と高い値を得ることができた. また, 文の順序推定に役立つ表現を獲得した.
木曽ら[9]はとりたて詞において代表的である「も」に特に焦点を当て, 「も」を含む文を計算機で取り扱い可能となるよう 関係意味論に基づき「も」の定式化を行った. 「太郎も知っている」という文が用いられた文脈において, この文で生じている影の意味「太郎と異なるXも知っている」のXに相当する オブジェクトの存在を調べた.
また, 文系の日本語学において助詞の研究は数多くなされている[1][2][3][4][5].
沼田[1]はとりたて詞の「も」とそうでない「も」の用法についてまとめた. とりたて詞の「も」は「単独他者肯定」「意外」「不定他者肯定」の「も」と分け, とりたて詞でない「も」は語中あるいは慣用句中の「も」, 慣用的強調の「も」, 形式副詞の「も」と分けている.
助詞「も」は「他者の存在を暗示する」とされる. 他者とは木曽らの研究での例文「太郎と異なるXも知っている」のXに相当する オブジェクトのことである. 岡野[2]は 特定の他者の想定が意味を持たないため, あるいは特定の他者の想定が難しいために周辺的とされる 4つの「も」の用法を示した.
中俣[3]は日本語のとりたて詞と並列助詞の接点について考察した. とりたて詞によって作られる集合と, 並列助詞によって作られる集合には何か 違いがあるのかを, 「も」と「とか」が使われている文を分析し, それらが使われる意味的, 語用論的な条件を探った.