体言止めの文型(例22)のような,判定詞の存在しない文型へのパター ン照合は困難である.理由は,照合を行うとき,判定詞という文の区切 りがないので,どの単語が述語になるのか区別ができないためである. 例22では,本来は「飛行機」が述語だが,パターンに判定詞の変数がな いと,「旅客」,「輸送」,「目的」,「民間用」の名詞についても述 語としてパターンが照合する.
例23のように述語の「もの」に対応した主語のない文型の主語なし文が ある.が格はあるが,連体修飾節内のが格なので『「貨物」』の係り先 は述語の「もの」ではない.このときの主語は,前の文脈に記述されて いる.このような文型に対して,「主語なし文」と判定する方法が必要 である.
例24の「には」は「に格」として使われている.本研究では,変数で 例24の「には」に対応していなかった.この場合は「に」と置き換える ことが可能なので,変数MTに照合できるように変更を行う.また, 例25の主格としての「には」についても調査を行う必要がある.格助詞 の「では」および「とは」についても同様である.
助詞の「は」または「が」と違い,「も」は,例26のように並立(他の ものと同様にこちらも成り立つ)を表すなど,「は」または「が」とは 用法に違いがある.本研究では,助詞の「は」および「が」のみ使用し たが,文型の網羅性を高めるために助詞の「も」に対応するパターンを 作成する必要がある.
パターンの作成では,接尾辞は名詞として変数化した,しかし,述語に 接尾辞がある場合は,「属性叙述型」に分類される傾向があった.ゆえ に,述語の接尾辞はパターン上に字面として残す方法も考えられる.