範疇叙述型

エントリ1のパターンは，主語の前の連体修飾表現があり，述語の前の連体修飾 表現もある範疇叙述型のパターンである．原文が6つからエントリが構成される． 原文1を例にとると，主語の前の連体修飾表現の「トルコの」は，変数MT1 で，主語の『「汗と絨毯」』はN2に対応している．助詞の「は」を「が」 と選択処理ができるようにし，読点を任意化する．述語の前の連体修飾表現の 「職人たちを追った」はMT3で，述語の「ドキュメンタリー」がN4 に対応する．判定詞はMD5である．主語と述語の意味関係は，主語は 『「汗と絨毯」』で，述語が「ドキュメンタリー」である．『「汗と絨毯」』は 「ドキュメンタリー」つまり記録映像のタイトルだとわかる．『「汗と絨毯」』 は数ある「ドキュメンタリー」の中のひとつを指している．ゆえに，述語は上位 語で，主語が下位語である．

[

l]エントリ1

[

l]原文

原文1:

トルコの「汗と絨毯」は、職人たちを追ったドキュメンタリーだ。

原文2:

冷蔵庫にある製品は国内向けのものだった。

原文3:

写真で首に巻いているマフラーは、インタビューの直前に歌手の荻野目洋子さんにプレゼントされたものだ。

原文4:

アウシュビッツで公開されているガス室は解放後に共産党政権がでっち上げたものだ。

原文5:

現在ドゥダエフ政権部隊が使用している大量の兵器は、一九九一年にロシア軍がチェチェンを撤退した後に同政権に引き渡したものだ。

原文6:

一カ月にわたるロシア軍の進攻に激しく抵抗しているドゥダエフ・チェチェン政権の兵器が旧ソ連軍の残したものだ。

[

l]パターン

パターン:

$/\mathit{MT}1\,\mathit{N}2(は\vertが)[、]/\mathit{MT}3\,\mathit{N}4\,\mathit{MD}5$

[ l]選択条件 主語前: T [ l]応用情報 型名: 範疇叙述型 下位語: N2 上位語: N4 追加情報: MT3

エントリ2のパターンは，エントリ1とほぼ同様だが，述語が「もの」と共通して 具体性が低いので，述語を字面に残した範疇叙述型のパターンである．原文は5 つで構成する．原文1を例にすると，主語の前の連体修飾表現の「冷蔵庫にある」 は，変数MT1で，主語の「製品」はN2に対応している．助詞の「は」 を「が」と選択処理をできるようにし，直後に読点はないが，任意化する．述語 の前の連体修飾表現「国内向けの」をMT3に対応し，述語の「もの」は具 体性が低いので字面に残す．判定詞はMD4である．主語と述語の意味関係 は，どちらも具体性が低いが，述語の「もの」は形式名詞とみなせるので，述語 のほうが具体性が低い．ゆえに，主語が下位語で，述語が上位語である．

[

l]エントリ2

[

l]原文

原文1:

冷蔵庫にある製品は国内向けのものだった。

原文2:

写真で首に巻いているマフラーは、インタビューの直前に歌手の荻野目洋子さんにプレゼントされたものだ。

原文3:

アウシュビッツで公開されているガス室は解放後に共産党政権がでっち上げたものだ。

原文4:

現在ドゥダエフ政権部隊が使用している大量の兵器は、一九九一年にロシア軍がチェチェンを撤退した後に同政権に引き渡したものだ。

原文5:

一カ月にわたるロシア軍の進攻に激しく抵抗しているドゥダエフ・チェチェン政権の兵器が旧ソ連軍の残したものだ。

[

l]パターン

パターン:

$/\mathit{MT}1\,\mathit{N}2(は\vertが)[、]/\mathit{MT}3\,もの\,\mathit{MD}4$

[ l]選択条件 主語前: T [ l]応用情報 型名: 範疇叙述型 下位語: N2 上位語: もの 追加情報: MT3

エントリ3のパターンは，主語の前の連体修飾表現，述語の前の連体修飾表現と もに存在しない範疇叙述型のパターンである．原文は1つで構成する．原文を例 にすると，主語の「発泡酒」が変数N1に対応する．助詞の「は」を「が」 に選択処理できるようにし，読点はないが読点の任意化をする．述語の「アルコー ル飲料」がN2に対応し，判定詞はMD3である．主語と述語の意味関 係は，「発泡酒」は「アルコール飲料」の中のひとつであるので，主語が下位語 で，述語が上位語の関係である．

[

l]エントリ3

[

l]原文

原文:

発泡酒はアルコール飲料だ。

[

l]パターン

パターン:

$/\mathit{N}1(は\vertが)[、]/\mathit{N}2\,\mathit{MD}3$

[ l]選択条件 主語前: F [ l]応用情報 型名: 範疇叙述型 下位語: N1 上位語: N2 追加情報: null

エントリ4のパターンは，主語の前の連体修飾表現はなく，述語の前の連体修飾 表現はある範疇叙述型のパターンである．原文は12で構成する．原文1を例にす ると，主語の『「しめ縄」』が変数N1と対応している．助詞「は」を「が」 と選択化し，読点を任意化する．述語の前の連体修飾表現「悪霊の侵入を防ぐ」 はMT2に，述語「道具」はN3に対応している．末尾の判定詞がMD4である．主語と述語の意味関係を見ると，『「しめ縄」』は「道具」の中の ひとつであるので，主語は，下位語で，述語は上位語の関係である．

[

l]エントリ4

[

l]原文

原文1:

「しめ縄」は、悪霊の侵入を防ぐ道具だった。

原文2:

ワゴン車はレンタル会社から借り出されたものだ。

原文3:

ラップは若者へのメッセージだ。

原文4:

阪神間を結ぶ道路は、生活用品や復旧資材を運ぶ貴重な幹線だ。

原文5:

石油はわが国の主権のシンボルだ。

原文6:

銃は同士官学校から盗み出したものだった。

原文7:

バッジは、実行グループの一人が落としたものだ。

原文8:

凶器はドライバーの柄に千枚通しのようなものをつけたものだった。

原文9:

伏見城は太閤秀吉の城だった。

原文10:

抗がん剤が自社の製品だった。

原文11:

フレーム形式は独立した骨格部材に車室を構成する外殻構造が載せられたもので、古くから自動車の車体構造として用いられ、現在でも貨物車を中心に採用されている。

原文12:

モノコック形式は車室を構成する外殻自体が強度部材として作られた構造で、２０世紀半ば頃から自動車の車体構造として普及しはじめて、現在の乗用車のほとんどで採用されている。

[

l]パターン

パターン:

$/\mathit{N}1(は\vertが)[、]/\mathit{MT}2\,\mathit{N}3\,\mathit{MD}4$

[ l]選択条件 主語前: F [ l]応用情報 型名: 範疇叙述型 下位語: N1 上位語: N3 追加情報: MT2

エントリ5のパターンは，エントリ4とほぼ同様に主語の前の連体修飾表現がなく， 述語の前の連体修飾表現のある範疇叙述型のパターンだが，述語が共通して「も の」と具体性が低いので，述語を字面に残す．原文は5つで構成する．原文1を例 にすると，主語の「ワゴン車」は変数N1に対応する．助詞の「は」を「が」 に選択処理ができるようにし，読点はないが読点の任意化をする．述語の前の連 体修飾表現の「レンタル会社から借り出された」はMT2に対応し，述語の 「もの」は具体性が低いので字面に残す．判定詞はMD3である．主語と述 語の意味関係は，述語の「もの」は具体性が低いと判断できるので，主語は下位 語で，述語が上位語の関係である．

[

l]エントリ5

[

l]原文

原文1:

ワゴン車はレンタル会社から借り出されたものだ。

原文2:

銃は同士官学校から盗み出したものだった。

原文3:

バッジは、実行グループの一人が落としたものだ。

原文4:

凶器はドライバーの柄に千枚通しのようなものをつけたものだった。

原文5:

フレーム形式は独立した骨格部材に車室を構成する外殻構造が載せられたもので、古くから自動車の車体構造として用いられ、現在でも貨物車を中心に採用されている。

[

l]パターン

パターン:

$/\mathit{N}1(は\vertが)[、]/\mathit{MT}2\,もの\,\mathit{MD}3$

[ l]選択条件 主語前: F [ l]応用情報 型名: 範疇叙述型 下位語: N1 上位語: もの 追加情報: MT2

エントリ6のパターンは，エントリ4と同様に，主語の前の連体修飾表現はなく， 述語の前の連体修飾表現はある範疇叙述型のパターンであるが，述語の「道具」 が具体性が低いと判断できるので．述語を字面に残したパターンも作成する． 原文は1つで構成する．原文を例にすると，主語の『「しめ縄」』が変数N1と対応している．助詞「は」を「が」と選択化し，読点を任意化する．述語 の前の連体修飾表現「悪霊の侵入を防ぐ」はMT2に，述語「道具」は具体 性が低いと判断できるので字面に残す．末尾の判定詞がMD4である．主語 と述語の意味関係を見ると，『「しめ縄」』は「道具」の中のひとつであるので， 主語は，下位語で，述語は上位語の関係である．

[

l]エントリ6

[

l]原文

原文:

「しめ縄」は、悪霊の侵入を防ぐ道具だった。

[

l]パターン

パターン:

$/\mathit{N}1(は\vertが)[、]/\mathit{MT}2\,道具\,\mathit{MD}3$

[ l]選択条件 主語前: F [ l]応用情報 型名: 範疇叙述型 下位語: N1 上位語: 道具 追加情報: MT2

エントリ7のパターンは，エントリ4と同様に，主語の前の連体修飾表現はなく， 述語の前の連体修飾表現はある範疇叙述型のパターンであるが，述語の「メッセー ジ」を具体性が低いと判断したので．述語を字面に残したパターンも作成する． 原文は1つで構成する．原文を例にすると，主語の「ラップ」が変数N1と対応している．助詞「は」を「が」と選択化し，読点を任意化する．述語 の前の連体修飾表現「若者への」はMT2に，述語「メッセージ」は具体 性が低いと判断したので字面に残す．末尾の判定詞がMD4である．主語 と述語の意味関係を見ると，「メッセージ」を具体性が低いのと判断したので 主語の「ラップ」は，下位語で，述語の「メッセージ」は上位語の関係とする．

[

l]エントリ7

[

l]原文

原文:

ラップは若者へのメッセージだ。

[

l]パターン

パターン:

$/\mathit{N}1(は\vertが)[、]/\mathit{MT}2\,メッセージ\,\mathit{MD}3$

[ l]選択条件 主語前: F [ l]応用情報 型名: 範疇叙述型 下位語: N1 上位語: メッセージ 追加情報: MT2

エントリ8のパターンは，エントリ4と同様に，主語の前の連体修飾表現はなく， 述語の前の連体修飾表現はある範疇叙述型のパターンであるが，述語の「シンボ ル」を具体性が低いと判断したので．述語を字面に残したパターンも作成する． 原文は1つで構成する．原文を例にすると，主語の「石油」が変数N1と対応している．助詞「は」を「が」と選択化し，読点を任意化する．述語 の前の連体修飾表現「わが国の主権の」はMT2に，述語の「シンボル」は具体 性が低いと判断したので字面に残す．末尾の判定詞がMD4である．主語 と述語の意味関係を見ると，「シンボル」を具体性が低いのと判断したので 主語の「石油」は，下位語で，述語の「シンボル」は上位語の関係とする．

[

l]エントリ8

[

l]原文

原文:

石油はわが国の主権のシンボルだ。

[

l]パターン

パターン:

$/\mathit{N}1(は\vertが)[、]/\mathit{MT}2\,シンボル\,\mathit{MD}3$

[ l]選択条件 主語前: F [ l]応用情報 型名: 範疇叙述型 下位語: N1 上位語: シンボル 追加情報: MT2

エントリ9のパターンは，エントリ4と同様に，主語の前の連体修飾表現はなく， 述語の前の連体修飾表現はある範疇叙述型のパターンであるが，述語の「製品」 を具体性が低いと判断できるので．述語を字面に残したパターンも作成する． 原文は1つで構成する．原文を例にすると，主語の「抗がん剤」が変数N1と対応している．助詞「が」を「は」と選択化し，読点を任意化する．述語 の前の連体修飾表現「自社の」はMT2に，述語の「製品」は具体 性が低いと判断できるので字面に残す．末尾の判定詞がMD4である．主語 と述語の意味関係を見ると，「抗がん剤」はある「製品」の中のひとつという関 係なので， 主語の「抗がん剤」は，下位語で，述語の「製品」は上位語の関係とする．

[

l]エントリ9

[

l]原文

原文:

抗がん剤が自社の製品だった。

[

l]パターン

パターン:

$/\mathit{N}1(は\vertが)[、]/\mathit{MT}2\,製品\,\mathit{MD}3$

[ l]選択条件 主語前: F [ l]応用情報 型名: 範疇叙述型 下位語: N1 上位語: 製品 追加情報: MT2

エントリ10のパターンは，エントリ4と同様に，主語の前の連体修飾表現はなく， 述語の前の連体修飾表現はある範疇叙述型のパターンであるが，述語の「構造」 を具体性が低いと判断したので．述語を字面に残したパターンも作成する． 原文は1つで構成する．原文を例にすると，主語の「モノコック形」が変数N1と対応している．助詞の「は」を「が」と選択化し，読点を任意化する． この助詞の後に助詞の「が」が存在するが，助詞「は」の前の単語と係り先が違 うので例文ははが構文ではない．述語の前の連体修飾表現の「強度部材として作 られた」はMT2に，述語の「構造」は具体性が低いと判断したので字面に 残す．末尾の判定詞がMD4である．主語と述語の意味関係を見ると，「モ ノコック形式」はある「構造」の中のひとつという関係なので，主語の「モノコッ ク形式」は，下位語で，述語の「構造」は上位語の関係とする．

[

l]エントリ10

[

l]原文

原文:

モノコック形式は車室を構成する外殻自体が強度部材として作られた構造で、２０世紀半ば頃から自動車の車体構造として普及しはじめて、現在の乗用車のほとんどで採用されている。

[

l]パターン

パターン:

$/\mathit{N}1(は\vertが)[、]/\mathit{MT}2\,構造\,\mathit{MD}3$

[ l]選択条件 主語前: F [ l]応用情報 型名: 範疇叙述型 下位語: N1 上位語: 構造 追加情報: MT2