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範疇叙述型

名詞述語文の主要な類型の1つは,主語名詞句が表す事物の帰属する範疇を述語名詞句が述べるものである. 今田は以下の例文を示した.

(1)
トルコの「汗と絨毯」は、トルコ東南部の町、ウルファで昔ながらの方法で絨毯を作る職人たちを追ったドキュメンタリーだ。
(2)
お正月の獅子舞は、我々を守ってくれる神の「権現」であり、村境に張った「しめ縄」は、悪霊の侵入を防ぐ道具だった。
(3)
ワゴン車はレンタル会社から借り出されたもので,借用書類からの指紋採取が進んでいた。
(4)
ところが、同委員長は「石油はわが国の主権のシンボルである」として、真っ向から対立。

[
|]引用 (1,2)は述語名詞句が範疇的概念を表す名詞述語文の例であるが, (1)のように作品といった類の下位種を表す語が現れる場合や, (2)のように比較的上位の類概念を表す語が現れる場合, さらには(3)のようにごく抽象的なレベルの範疇しか表さない形式名詞が現れる場合などがある.

範疇的概念の中には,事物の博物学的分類を表すものもあれば, そうではないものもある.例えば(1)の「ドキュメンタリー」は博物学的分類の一種であるが, (4)の「シンボル」は「石油」の博物学的分類を示しているわけではない. (4)の述語も範疇的概念を表すものではあるが,事物の博物学的分類を表しているというよりは, 何らかの目的や機能を共有する事物や概念のグループを表している.

範疇を述べる文には,範疇情報自体が文の主要な伝達内容であるものもあるが, 範疇情報自体よりも,それを修飾する部分の方が文の主要な伝達内容であるものも多い. (1)では,作品や商品がどのようなカテゴリーに分類されるかということが問題となっており, 「ドキュメンタリー」といった範疇情報自体が文の主要な伝達内容となっている. 一方,(2,3)では,「道具」および「もの」は文の主要な伝達内容ではなく, 「どのような」にあたる部分の情報が文の主要な伝達情報となる. 「どのような」にあたる部分の情報には様々な種類のものがある. 例を挙げると,(2)の「悪霊の侵入を防ぐ」は,事物の目的を表す.

以上に対し,本研究では次のようにエッセンスを取り出す. 範疇叙述型は,主語が述語に対して下位語,述語が範疇(上位語),および, 追加の情報を示す語句として追加情報が解析で得られる.

[
|]範疇叙述型の例 原文:パソコンはただの道具だ。
下位語:パソコン
上位語:道具
追加情報:ただの



平成25年6月20日