統計翻訳システムの概要

統計翻訳とは，翻訳する言語と目的言語の対訳文を大量に収集した対訳データを用いて， 自動的に翻訳モデルを作成し翻訳を行う，機械翻訳手法の一つである． 現在，統計翻訳システムとして， 「単語に基づく統計翻訳」， 「句に基づく統計翻訳」， 「階層型統計翻訳」 が提案されている．

図2.1に日英統計翻訳システムの枠組を示す．

図: 日英統計翻訳システムの枠組

日英統計翻訳は，まず日英対訳コーパスの学習によって，翻訳モデル$P(j\big\vert e)$と言語モデル$P(e)$を作成する． そして，入力文として日本語文$J$が与えられたとき，$P(j\big\vert e)$と$P(e)$の組み合わせから，確率が最大となる英語文$E$を探索し翻訳を行う．統計翻訳の基本式を以下に示す．

$$E = argmax_{e}P\left(e\big\vert j\right)$$ (2.1)

$$\approx argmax_{e}P\left(j\vert e\right)P\left(e\right)$$ (2.2)