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日本語補完による翻訳精度の向上

日本語補完を用いることで翻訳精度が向上した原因は,2つ挙げられる.まず1つ目は,入力文の主語が省略されていることで出力されなかった主語が,主語補完を行うことで出力されることである.表50に例を示す.

表: 主語補完による主語出力改善の例
ベースライン入力文 戸をぱっと開いた。
日本語補完入力文 私は戸をぱっと開いた。
正解文 I threw open the door .
ベースライン出力文 open the door .
日本語補完出力文 I open the door .

50の場合,ベースライン入力文は,主語が省略されている.そのため,主語が出力されず,ベースライン出力文は命令文になっている.しかし,主語補完を行うことによって,主語を出力し,翻訳精度が向上したことが分かる.
また2つ目は,入力文の主語が省略されている場合,うまくフレーズ対応をとることができないことが原因で出力に誤りが生じた.これに対し,主語補完を行うことでうまくフレーズ対応をとることができた点である.表51に例を示す.

表: 主語補完によるフレーズ対応改善の例
主語省略文入力文 平気でうそをつく。
日本語補完入力文 私は平気でうそをつく。
正解文 She doesn ' t scruple to tell a lie .
ベースライン出力文 It is a has .
日本語補完出力文 I tells lies without shame .

また,フレーズ対応を表52に示す.

表: フレーズ対応改善の例
``主語省略文"のフレーズ対応 主語補完した文のフレーズ対応
平気で $ \vert\vert\vert$ has $ \vert\vert\vert$ I
うそを $ \vert\vert\vert$ It is a は 平気 で うそ を つく。 $ \vert\vert\vert$ tells lies without shame .
つく。 $ \vert\vert\vert$ .  

52では,ベースラインでは,フレーズ対応がうまくとれていない.しかし,主語補完を行うことで,フレーズ対応が改善され,翻訳精度が向上したことが確認できる.


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平成23年4月12日