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目次
本研究は,日本語語彙大系における結合価パターンに情緒推定用の情報を付与する課題を進めた.
先行研究[9]にて,
付与が不十分となっていた対称な情緒属性の必要性の調査を,
情緒原因ごとに行った.
調査の結果,83種類の情緒原因のうち39%は必要性の高い分類であるが,
61%は低い分類であった.
本辞書全体を見ると,
情緒属性の総数11,712セットに対して,
2,142セット,18%(=2,142/11,712)が追加された.
日本語の用言約6,118語のうち,
941語(15%)に,
情緒推定用の情報を追加した.
これらの結果から,
全ての用言(結合価パターン)に対して一律に対称な情緒属性を追加するべきではなく,
用言(結合価パターン)ごとに動詞の種類などを考慮して
対称な情緒属性を追加するべきであることを確認した.
拡張したパターン辞書を用いた本情緒推定方式を実装し,
情緒推定実験を行った.
情緒推定実験の結果,理想的な情報の下では,9分類系において,
対称な情緒属性を追加した上での判断条件使用時の情緒推定の一致率は53%となり,
以前の方式の一致率50%よりも改善した.
また,推定された情緒の95%は正解データの作成者から同意が得られた.
この結果から,辞書の拡張の妥当性が確認できた.
平成25年2月12日