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日本語語彙大系

日本語語彙大系[2]には,日本語の用言(約6,000語)の結合価パターン (約14,000件)が定義されている.結合価パターンは,用言と格要素の意味的共 起関係を文型化したものである. 結合価パターンの格要素は,一般名詞意味属性により制限を設けられた名詞と格助 詞を組み合わせて構成している.格要素の使い方により用言の意味に違いが生じ るので,,一つの用言に対し複数の結合価パターンが存在している. そのため,格要素を構成する名詞は,変数化されており, 一般名詞意味属性による制約条件が付与されている.

一般名詞意味属性は,単語を意味的用法により階層的に分類,体系化したもので ある.約40万の単語を12段の木構造により2,710の意味属性に分類している. 一般名詞意味属性では,上位の意味属性の性質を下位の意味属性に継承している. したがって,制約条件として中位の意味属性が与えられている場合でも,その意 味属性の下位にあたる名詞は制約を満たす.

一方,結合価パターンは,用言としての意味的用法が用言意味属性により示され ている.用言意味属性は「用言が持つ動的属性の種類」の観点から分類した36種 類の属性体系である.このことから,パターンによる意味解析ができるといえる.

例えば,用言「読む」を検索すると,図2.1に示される結合価パター ンが得られる.以下の結合価パターン(1)と(2)は文法レベルでは同じ記述である が,名詞変数$N2$には意味属性制約により異なる名詞が適合する.その結果,用 言に対する意味が異なることを表している.

図 2.1: 結合価パターンの例
\begin{figure}\begin{center}
\begin{tabular}{\vert p{12cm}\vert}
\hline
\\
...
...
\hspace{4.4zw}32思考動作\ \\
\hline
\end{tabular} \end{center}\end{figure}



平成22年2月11日