評価実験において,受動文パターンの網羅性と正確性を検証するため,学習辞書 などで使用された単文の受動文に対して受動パターンでの意味解析を行った. その結果,受動文100文に対する受動パターンのカバー率は56%であった. また,誤り事例の分析により,作成したパターンに動作主,対象物,あるいは手 段を表すための多様な格助詞を網羅するための助詞が,改良した変換規則におい ても不足していることがわかった.同時に,助詞による文の曖昧性が存在する場 合,任意格となる格要素の追加や,格助詞の示す意味を正確に捉えたパター ンの追加が必要となることがわかった.
今後の課題は,大局的に作成した受動パターンに対し,局所的に動詞ごとの差異を 吸収するための修正を行うことである.