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分類4「格要素の個数に変化を要する」

以下に誤り事例を示す.

入力文:アーサー王子が両親をラビック王に殺される。
出力文:アーサー王子が [ラビック王が 両親を 殺す]。
正解文:ラビック王がアーサー王子の両親を殺す。


ここで使用したパターンは次の通りである.

能動パターン: $N1が N2を 殺す$
受動パターン: $N1に N2が/を '殺す'.reru$
意味属性制約: $N1(4人 535動物) N2(4人 535動物)$

入力文の格要素として考えられる名詞は「アーサー王子」,「(アーサー王子の )両親」,「ラビック王」の3つである.しかし,動詞「殺す」の全ての能動パ ターンは,2つの格要素しか選択できない.そのため,入力文の格要素を, 能動文として意味的に正しく変換できなかった.

この格要素の個数に変化を要する問題は,庭によって述べられた「$N$の受身」 と対応していると考えられる.能動文で動作の対象となる補語を「$N$の」 の形で修飾している要素が、受身文の「$N$が」になる型のものである. 庭が述べた規則では,格要素が3つの文に対して適用されているが,パターンに 定義されている格要素が3つ未満の場合と対応できていなかった.

入力文を正しく能動文に変換するならば,日本語語彙大系に以下の結合価 パターンが必要になる.なお,名詞変数$N3$を囲む「$\sharp n[ ]$」 は,任意のパターン記述要素を表す記号である.

能動パターン: $N1が \sharp1[N3の] N2を 殺す$
受動パターン1: $N1に N3が N2を '殺す'.reru$
受動パターン2: $N1に N3の N2が '殺す'.reru$
意味属性制約: $N1(4人 535動物) N2(4人 535動物) N3(*)$

しかし,能動パターンの変形までは本研究の対象としないため,本研究ではこの誤 り事例に対策を設けない5.1



平成22年2月11日