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おわりに

情緒推定では,原因文の収集自体が重要な課題である. 本研究では,Webコーパスから,因果表現文からの収集と共起頻度に基づいた収 集の2つの方式で情緒生起原因を収集することができ た.$5$億文から,因果表現文の収集は,Positiveの文$10,066$文,Negativeの文$1,994$文,合 計$12,060$文を収集し,その中から$10,333$の「2つ組」を得ることができた.共 起頻度に基づいた収集では,$5$億文からPositiveの文$221,527$文,Negativeの文$63,193$文,合 計$284,720$文を収集し,その中から$205$の「2つ組」を得ることができた(4つ の名詞「写真」,「店」,「家」,および,「車」についてそれぞれに対する動 詞の組合せについて収集).因果表現文によって収集した「2つ組」の中は,$9$ 割以上が頻度 $1$である組合せであったため,信頼性が確保できなかったが,因果関係の文法 構造に着目した収集は必要であると考えられる.また,共起頻度に 基づいた収集で得た2つ組の評価極性値によって,Negative傾向の名詞よりも Positive傾向の名詞については直感的に同意しやすい見解が得られた.

収集方法自体に新規性はないが, 情緒推定技術の重要な言語資源の確保,および, 言語の意味理解に関する知見獲得のために, 今後も収集と考察を続ける必要があると考えている.


平成24年3月20日