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情緒推定一般規則

情緒推定一般規則は,情緒推定の原因を表し,語彙知識から得られる文 脈情報と照合することによって情緒を推論するためにある.
この情緒推定一般規則は語彙知識に対応した記述形式となっている.以下に記述 の例と語句の説明を示す.

例: feel($Fr$,$Ft$,sad):-$P1$=person($X$,_R,$N1$), $P1$, before_good($P1$,$N1$),after_bad($P1$,$N1$).

上記の要領で, 先行研究で定義している情緒原因の特徴(第2.3.2節参照)に基づき,以下の情 緒推定一般規則を作成した.例えば,「悲しみ」の情緒原因は「現状態は前状態 よりも不都合である」とあるので,「good_before(),bad_after()」のように記 述を変換している. 本研究では「悲しみ」,「喜び」,「好ましい」,「嫌だ」,「怒り」,「恐れ」 の6種類を作成し,それぞれ「『情緒名』の性質」と表現している.
[
c]情緒推定一般規則 /* ↓悲しみの性質 */
feel($X$, $N1$, sad):- $P1$ = person($X$, _R, $N1$), $P1$, good_before($P1$, $N1$), bad_after($P1$, $N1$).
/* ↓喜びの性質 */
feel($X$, $N1$, joy):- $P1$ = person($X$, _R, $N1$), $P1$, bad_before($P1$, $N1$), good_after($P1$, $N1$).
/* ↓好ましいの性質 */
feel($X$, $N1$, liking):- $P1$ = person($X$, _R, $N1$), $P1$, good_after($P1$, $N1$).
/* ↓嫌だの性質 */
feel($X$, $N1$, disliking):- $P1$ = person($X$, _R, $N1$), $P1$, bad_after($P1$, $N1$).
/* ↓怒りの性質 */
feel($X$, $Y$, anger):- $P1$ = person($X$, owner, $N1$), $P2$ = person($Y$, user, $N1$), $P1$, $P2$, superior($P1$, $P2$), good_before($P1$, $N1$), bad_after($P1$, $N1$).
/* ↓恐れの性質 */
feel($Y$, $X$, fear):- $P1$ = person($X$, owner, $N1$), $P2$ = person($Y$, user, $N1$), $P1$, $P2$, superior($P1$, $P2$), good_before($P1$, $N1$), bad_after($P1$, $N1$).
一般規則規則の記述形式は前述の語句説明を参照することで理解できるが,「怒り」 と「恐れ」の性質に記述している「superior()」という記述については示してい なかったので補足説明をする.

「怒り」,「恐れ」の情緒原因として,「優劣関係」において「怒り」は「上下 関係についての規則や当然のことが守られていない」,「恐れ」は「不都合な優 劣関係になると予測した」とある.userはownerにオブジェクトを返さなくては いけない義務があるので,「owner$>$user」という優劣関係があり,そのとき ownerが不都合となる状況を示している.


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平成22年2月11日