情緒原因は,複数の命題に分割して説明される. 例えば,第2.3.2節で述べた 〈獲得〉は「目標に必要な物か」や「努力したか」,「手に入れたか」などである.
本研究では, 情緒原因を構成する命題を要因と呼ぶことにする. これらの要因は,〈獲得〉の1つの側面しか捉えていないが, それでも複数存在する2.1. 一方「貰う」の語義は「手に入れたか」という要因はカバー するが,「目標に必要な物か」や「努力したか」という要因はカバーしていない. そこで,情緒原因と語義の差を少なくする必要がある.
本研究では,文献[10]の要因に限っているが,厳 密に言えば,文献[11]と同様に細かい要因がある. しかし,現在の 実際問題として,細かい要因を述語で記述したとしても,述 語の真偽は確認が困難である. そこで,目良らに習い, 接近/解離の観点で粗く条件を設計し,辞書への付与を試みた[12].
図2.1に,設計した判断条件の種類とセット数を示す.
判断条件名 | 条件の意味 | セット数 |
不要 | 語義だけで情緒原因を表す | 2,710 |
生理・近 | とは積極的な生理関係 | 144 |
生理・離 | とは消極的な生理関係 | 207 |
心理・近 | とは積極的な心理関係 | 80 |
心理・離 | とは消極的な心理関係 | 17 |
目標実現・近 | とは積極的な目標実現の関係 | 2,725 |
目標実現・離 | とは消極的な目標実現の関係 | 513 |
対人関係 | とは対人関係がある | 303 |
対人関係・近 | とは積極的な対人関係 | 2,775 |
対人関係・離 | とは消極的な対人関係 | 170 |
対人関係(上下)・近 | とは上下関係のある | 113 |
積極的な対人関係 | ||
(は自身の能力を他人と比べる尺度) | ||
その他 | 上記の条件ただ1つでは | 1,995 |
記述できないような条件 | ||
11,712 |