例えば,「子供がおもちゃをもらった。子供がおもちゃを処分した。」という 文章において,1文目は図3.1のレコード, 2文目は図3.2のレコードにそれぞれ適合する.
この子供がおもちゃを欲しがっていたとすると, 「目標実現(子供, おもちゃ)」が成立する. よって,この子供はおもちゃの獲得によって 何らかの目標を達成すると判断でき, 情緒《喜び》が推定されることは自然である.
また,2文目においても同様に「目標実現(子供, おもちゃ)」が成立し, 情緒《喜び》が成立するのだが,「欲しがっていたおもちゃ を処分して喜んだ」という推定になり,2文目の推定は不自然になってしまう.
図3.2のパターンが有効なのは,例えば「主婦がゴミ を処分する」のように,不要なものを対象とする場合である. したがって,2文目に対しては「《喜び》とは言えない」と出力したい.
ゆえに, 図3.1の場合,《喜び》が推定されるためには, 「子供」と「おもちゃ」の関係が「接近」の方向性 であることを判断条件で確認し, 図3.2の判断条件の場合,《喜び》が推定されるためには, 「子供」と「おもちゃ」の関係が「解離」の方向性であることを判断条件で確認する 必要がある.