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研究者からの要請

本研究において,研究者とは,自然言語処理における情緒理解の研究を行ってい る者を指す.

情緒研究を進める上での基本的な手順を以下に示す.

  1. タグ付きコーパスの構築
  2. 情緒推定用の知識ベースの構築
  3. 情緒推定プログラムの作成
  4. 情緒推定の評価実験
  5. アプリケーションの作成

タグ付きコーパスとは,情緒を推定する技術を研究する上で必要となるコーパス である.コーパスのタグは,[2]が51種類ある様に,多数ある.よっ て,コーパスを作成する上で使用されるツールは,各項目別にセルでまとめるこ とができ,管理がしやすい表計算ソフトである.表計算ソフトでコーパスを作成 する場合は人手で作成する.しかし,複雑なリンクのあるタグ付きコーパスを作 成する場合は,人手で作成することは難しいため,コーパス作成支援ソフトを使 う場合がある.コーパス作成支援ソフトには「VisualMorphs」 [3]がある.

情緒推定用の知識ベースは,情緒推定をする上で必要となる情報を付与したデー タベースのことである.コーパス作成の時と同様の理由から,表計算ソフトが使 われるが,より大規模な知識ベースを作成するために作成支援ソフトを使う場合 がある.データベース作成支援ソフトには「FileMaker」がある.

情緒推定プログラムは,情緒推定を行いたいテキストを入力すると,入力文から 推定できる情緒を結果として出力するプログラムである.情緒推定プログラムの 作成上,プログラムがどのような動作をしているかモニタリングする必要がある. 例えば,情緒推定対象文に適合した文型パターンや,プログラムの処理過程にお けるフラグの状態である.

情緒推定の評価実験の内容は実験目的によって様々なものがある.多くの評価実 験で共通することはアンケートである.アンケートでは複数の被験者を必要とす るため,集計における時間的コストが高い.そこで,コストを削減するため,自 動で評価結果を集計することが必要である.また,被験者の各質問に対する回答 時間情報も必要となる.どちらもペーパー形式のアンケートでは,ほぼ不可能で ある.

工学の立場において,言語の意味処理に対する評価は,最終的にはアプリケーショ ンに依存する.また,アプリケーションを使用する立場にあるのは一般ユーザで ある.よって,アプリケーションについては第3.2節において,一般ユーザの立 場から述べる.

以上を踏まえて,情緒研究者が既存のツールを用いて研究の支援をすることがで きない研究内容は以下の2点である.

そこで本研究では,情緒推定結果と適合した文型パターン,ならびにフラグ状態 を表示するツールと,評価実験における集計を自動で行うツールを作成する.



平成21年3月31日