本研究における接続表現の定義と接続表現の例を示す.
接続表現の定義をこのように定めた背景として,二つの理由がある.
第一に,文頭に用いられる接続表現を除外するためである.例えば,「学校 に行った.しかし今日は休みだった」のように,接続詞「しかし」はもっぱ ら文頭にのみ用いられ,文中では用いられない.本研究では文脈を考慮せず, 一文のみによる情緒推定を行うため,文頭にのみ使用される接続詞は対象と しない.よって,「節間にある」ことを本研究で扱う接続表現の定義に含めた.
第二に,接続表現と副詞の区別を行う必要があるからである.例えば,「一 年間猛勉強をし,ついに私は第一死亡の大学に合格した.」という 事例では「ついに」が節間にある.しかし,「ついに」は副詞であり,副詞 に関しては佐伯[10]が既に情緒との関連について分析している.よっ て,本研究では副詞を排除するために「文が文法的に崩れるもの」のみを接 続表現として扱う.
なお,本研究では2つの節の間に接続表現が存在する文を対象とする.つまり, 複数の接続表現によって構成される複雑な重文複文は対象としない.また, 接続表現より前の節を「前節」と呼び,接続表現より後の節を「後節」と呼 ぶこととする.