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目次
5章で情緒推定に利用可能と思われる接続表現を列挙した.主節に正の情緒がき
やすい接続表現としての「せいで」や情緒の正負を反転する接続表現としての
「かわりに」は客観的にみても正しいように思える.しかし一方で,情緒の正負
を保持する接続表現としての「ばあい」や主節に正の情緒がきやすい接続表現と
しての「るやいなや」は人間の判断からすると必ずしも情緒属性があてはまると
はいえない.また,接続表現「にもかかわらず」は今回,情緒の極性変換性も情
緒の制限性もあてはまらなかった.しかし語義から考えると,接続表現「のに」
同様,従属節で行った努力に対して主節では努力に相応した結果が得られなかっ
たという事態が考えられる.よって接続表現「にもかかわらず」は負の情緒と共
起する情緒となる可能性がある.今回,そうならなかった原因としては,文例数
が少なかったこと,語義を考慮しなかったことが考えられる.このように,本来
情緒推定に利用できるはずの接続表現を本研究でとりこぼしている可能性がある.
今後は語義を考慮する必要があり,また文例から情緒推定に利用か判断する場合
においても文例数を増やす必要がある.
平成20年6月3日