実験結果との比較のために, 収集したメール文章を被験者に読んでもらい, どの口調と感じるか答えてもらった. 被験者は4名とした. 書き手の込めた口調に読み手の解釈が一致した割合を表27 ,および,表28に示す. 分母は文章数(それぞれの口調で32文章 被験者4名), 分子は読み手が解釈した文章の数である. 例えば,表27において, 書き手がやわらかい口調を込めて書いた文章のうち,読み手が 「この口調はやわらかい」と解釈した文章は57%である.
書き手読み手 | やわらかい | 中立 | きつい |
やわらかい | 73/128 | 53/128 | 2/128 |
(57%) | (41%) | (2%) | |
中立 | 52/128 | 74/128 | 2/128 |
(41%) | (58%) | (2%) | |
きつい | 10/128 | 20/128 | 98/128 |
(8%) | (16%) | (77%) |
書き手読み手 | やわらかい | 中立 | きつい |
やわらかい | 65/128 | 59/128 | 4/128 |
(51%) | (46%) | (3%) | |
中立 | 33/128 | 77/128 | 18/128 |
(26%) | (60%) | (14%) | |
きつい | 0/128 | 19/128 | 109/128 |
(0%) | (15%) | (85%) |
勧誘文,批判文ともに,書き手の解釈と読み手の解釈の一致は きつい口調において8〜9割程度である.これに対し, やわらかい口調と中立の口調では6割程度である. やわらかい口調と中立の口調の判別が難しいことが分かる. 批判文では,書き手が中立の口調を込めて書いた文章を 読み手がきついと解釈する割合が高くなっているが,この原因として, 批判文という性質上,書き手が中立の口調で書いたつもりでも, ある程度攻撃的になってしまいやすいということが考えられる.