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おわりに

本研究では,発話の意図を変えないで情緒的な雰囲気を変化させるために 文末表現を選択する手法の実装を目的とした. 研究[6]のコーパスから抽出された 文末表現3,652件から,情緒成分および意図属性付きの 文末表現パターンを964件作成し, このパターンで構成される知識ベースを用いて 文末表現の選択を行うシステムを実装した.

また,実装した知識ベースを用いて 発話文の文末表現を変えた場合に意図が保たれるか,目的の情緒 が伝わるかを評価実験で調査した. 文末表現変更の前後において,意図が保たれた割合(単純一致)が70%, 文末表現変更後の発話文において目的の情緒が伝わった割合(9分類系)が23.8%, 文末表現変更後の発話文において被験者が違和感を感じた割合が63.3%という 結果が得られた.

意図の保持は比較的良い結果が出ているが, 情緒は2割強しか伝わらない,違和感を感じた割合は6割強と, 良くない結果に終わってしまった. しかし,結果が良くなかった原因としては 実験条件に問題があったことも大いに考えられるため, あるいは実験条件次第では良い結果が出ることが期待される. 今後の課題は,知識ベースの強化と実験条件の見直しである.



平成19年2月16日