例5は,辞書中に「は腹が立つ」,「がに腹を立てる」,「が に立腹する」という類似したパターンに持つが,「腹立たしい」というパ ターンは存在しない. 例6は,辞書中に「がを怪しむ」,「がと怪しむ」という類似 パターンを持つが,「が怪しい」という形容詞パターンが存在しない. 例7は,辞書中に「がを自慢する」,「がをに自慢する」, 「がを自慢と/にする」という類似パターンを持つが,「自慢げだ」と いうパターンは存在しない. 例5,6,7のようなパターンに対しては,言い回しによる微妙な違いを吸収する機構 を使用する,または,違いごとにパターンを増やす必要がある.
例8は,辞書中に「がの度胆を抜く」という類似パターンを持つが,受 身形のパターンがない.日本語語彙大系では,一部のパターンが受身のモダリティ を持っているが,情緒推定にとっては不足しているので,パターンを強化する必 要があると考えられる.