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おわりに

本研究では,安井らの研究において,考慮されていなかったテストデータの信頼性 確保を,係り先付与者の精度調査,付与人数の増強,およびデータ量の増強 により解決した.データ作成の結果,信頼性を確保した「V+AのB」型名詞句の係 り先データを1,560件作成できた.作成データを用いた安井手法の係り先解析実験 では,安井手法の有効性は確認できなかったが,その中でのCBS法,IPS法の有効性は 確認した.

考察の中で,人手による付与結果だけで作成した係り先を使用する解析実験も行っ た.その結果,安井手法の正解率は70.6%となった.人手による付与結果だけで 作成したデータの約30%が2対1で判定されたものであることから,人手による付与には3割程度のゆらぎがあることがわかる.このことから,安井手法は人手の能力に近 いといえる.

また,本研究で行った解析実験を総合的に見ると,正解基準の変更にともなって デフォルト規則の正解率が上下しても,安井手法の正解率は,75%前後を推移し ている.このことから安井手法は,「A係り」と「B係り」の割合が変化しても安 定した正解率が出せるといえる.



平成19年3月25日