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概要

近年,機械翻訳では, 言語表現の構造を意味のまとまる単位にパターン化した文型パターンを用いる方 式が期待されている. この翻訳は,日本語の入力文に合った日本語パタ−ンに対応する英語パタ−ンを 用いて出力英文を作成する方式である. 現在,重文・複文において文型パターン辞書が構築されている. この辞書では,パターン記述要素とし,名詞句変数が使われており,その変数に代 入された日本語表現を英訳する必要がある.

そこで,本研究では,名詞句に対しても「文型パターン」を用いた翻訳の実現を 試み,それに必要な「名詞句パタ−ン辞書」の構築を目的とする. そして,作成した名詞句パターン辞書を使い翻訳実験することで,その精度を調 べる. 具体的な翻訳内容は、名詞句対訳コーパスよりランダムで日本語名詞句を 100件選び,翻訳プロトタイプシステム(Meijin)により翻訳実験を行った. また,翻訳精度のの比較をするため,既存の翻訳機,「ALT-J/E」,「翻訳の王 様」についても,Meijinと同じ入力名詞句を入力し訳出した.

評価は,再現率$R$と適合率$P$を用いて集計した. 結果は,翻訳プロトタイプシステム「Meijin」の再現率が75%,適合率が99%, 「ALT-J/E」の再現率が100%,適合率が87%, 「翻訳の王様」の再現率が100%,適合率が94%であった. 適合率において,高い数値が出ていた.これは,パターンの候補があった名詞句 においての正解の割合であり,パターンの候補があった名詞句に関しては,質 の良い翻訳ができたと言える.よって,名詞句パターン辞書のパターン対が良質 であったとが確認できた.



平成18年3月24日