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まとめ


本研究では,音節波形接続方式を文節に適用した従来手法で問題となっている2つの問題点を取り上げ,新しい手法を提案した. 問題点は,母音や撥音が連続する部分での接続部の違和感,そして,素片の音量の違いによって現われる違和感である. そして,母音や撥音が連続する場合には連続母音として扱い,録音した時間帯が近い素片の組み合せを選んで合成音声を作成し,合成音声の品質を調査した.

その結果,聴覚実験において提案手法の合成音声は了解度が99.3%,オピニオンスコアは3.83が得られた. そして,提案手法と従来手法を比較すると了解度,オピニオンスコアともに高い値となった. また,対比較実験においても60.7%が提案手法の方が自然であると判定された. このことから,音声波形の選択条件を追加することで音声の品質が向上し,追加した音節の選択条件が音節波形接続方式に有効であることが示された.

今後は,接続部の違和感を軽減など様々な制御を導入し,音声の品質を高めることが必要である. また,それと同時に,音声コーパスをより有効に利用できるように,後音素環境における子音のグループ化を検討していくことが重要である.




Jin'ichi Murakami 2005-04-20