: 格助詞、意味属性の深さの有効性
: 実験の結果
: 実験の結果
  目次
まず、正答率についての結果を表5に載せる。
本研究の成果を明確にするために、比較材料として、3種類のデータを用意する。
1:格変化、点数計算無し:受身に対して何の処置も行わず、
候補パターンが一つだけなら
そのまま正答となるが複数の候補パターンが出た場合には
候補の中に一つだけ正解があるとして正解を選ぶ確率を加算した場合。
2:点数計算のみ:受身に対しての処置を行わず、複数の候補パターンが出た場合は点数計算によって候補パターンを一意に絞る場合。
3:格変化、計算使用:受身に対して格変化を行い、
複数の候補パターンが出た場合は
点数計算によって候補パターンを一意に絞る場合。
ただし、この正答率は、全てパターン無し(パターンが登録されていない)と
判定された文は除き、
慣用表現を用いている文についても除く。
パターン無しの文は58文、慣用表現の文は8文なので、
正答率の判定に用いた文は234文である。
表 5:
正答率比較1
格変化、点数計算無し |
点数計算のみ |
格変化、計算使用 |
81.9%((161+30.54)/234) |
86.8%(203/234) |
94.0%(220/234) |
注:30.54は複数の候補パターンが残った場合、正解を選ぶ確率。
複数のパターンが残った文数は59文で、59文の中で正解が出るのは
30.54文という事になる。
また、表5について例文を用いて以下に示す。
1:格変化、点数計算無し
例文:大会開催が決まった。
候補パターン1:(1 全て)が決まる。(正解)
候補パターン2:(1 全て)が(1 全て)[から、より、で]決まる。
格要素の照合によって候補パターンは2つに絞られる。
だが、点数計算をしないため、無作為に正答を選ぶとすると
正答を選ぶ確率は1/2。
よって、2回に1回は正答を選ぶとして0.5を正答数に加算する。
2:点数計算のみ
例文:大会開催が決まった。
候補パターン1:(1 全て)が決まる。(3点)(正解)
候補パターン2:(1 全て)が(1 全て)[から、より、で]決まる。(1.5点)
点数計算を使用するのでパターン1を選択する。
意味的にもパターン1が正解となり、正答数に1加算する。
3:格変化、計算使用
例文が同じ場合は点数計算のみと同じなので別の例で示す。
例文:契約が交わされている。
候補パターン1:(3 主体)が(抽象 1000 具体物 533)を(3 主体)と交わす。(1点)
候補パターン2:(3 主体)が(1717 契約)を交わす。(30点)(正解)
格変化を使用するので、「契約を交わす」として扱う。
格変化を使用しないと「契約が交わす」となり、認識できない。
格変化と格要素照合により、候補パターンが2つに絞れたので
点数計算をして、パターンを一意に絞る。
パターン2の方が点数が高く意味的にも正しいため、正答となる。
平成14年4月10日