本手法で提案した「内と外の関係」の判断規則での失敗の原因として,主に以下の4つがあ げられる.
(例文23)彼は原因も治療法もわからない難病にかかっている.(オー プンテスト)
1. 彼(1710,[23,48])/は(7530) |
2. 原因(1210,[2450])/も(7530) |
3. 治療(1220,[1985,2006,1035])/法(6280,[1035])/も(7530) |
4. わから(2182,分かる)/ない(7187) |
5. 難病(1100,[2419])/に(7430) |
6. かかっ(2184,掛かる)(2184,罹る)/ている(2816)/。([P]0110) |
◯分かる |
N1が N2と 分かる |
[ N1(*) N2(*)] |
N1が N2に 分かる |
[ N1(1210業績 2451結果) N2(3主体)] |
[ N1(1037創作物) N2(4人)] |
[ N1(2701未来) N2(3主体)] |
N1が N2に N3で 分かる |
[ N1(1002抽象物(精神) 1236人間活動) N2(3主体) N3(1064言葉)] |
N1が N2に N3と 分かる |
[ N1(*) N2(3主体) N3(*)] |
N1に N2が 分かる |
[ N1(3主体) N2(1030要点)] |
例文23では,述部「分かる」の結合価パターン「N1(*)が
N2 (*)と分かる」のように,結合価パターンに全て(*)を含むた
めに失敗する.
ここで,(*)はどの意味属性でも当てはまることを意味するので, 「外の関係」と判断すべきところを,「内の関係」と判断してしまう.こ のような例については,結合価パターンの精度向上に依存するか,新たに 規則を作成する必要があると考えられる.
「並外れる,知り合う,一見する」のように日本語語彙大系に登録されていない もの.その内,「一見する」のように日本語語彙大系に未登録のサ変型動 詞 については,「する」の結合価パターンを用いて「一見をする」と変換して用い ることで解決できると考えられる.
(例文24)その寺の庭は一見する値打ちがある。(オープンテスト)
1. その(4200,其の) |
2. 寺(1100,[454,377])/の(7410) |
3. 庭(1100,[889,423])/は(7530) |
4. 一見する([*]2637,[1]) |
5. 値打ち(1100,[2532,2590,2441])/が(7410) |
6. ある(2186)/。([P]0110) |
値打ち |
[/1名詞/1000抽象/2422抽象的関係/2507状態/2508様相/2532 是非] |
[/1名詞/1000抽象/2422抽象的関係/2585 数量/2587 量/2590 値・額] |
[/1名詞/1000抽象/2422抽象的関係/2432 類・系/2441 等級] |
また,「知り合う」のような複合動詞については,「知る」の結合価パターンを 用いることで解決できると考えられる.
(例文25)電車の乗客は座席に寝そべっている酔っぱらい を見て見ないふりをした。(オープンテスト)
1. 電車(1100,[988])/の(7410) |
2. 乗客(1100,[160])/は(7530) |
3. 座席(1100,[2612,460])/に(7430) |
4. 寝そべっ(2184,寝そべる)/ている(2817) |
5. 酔っぱらい(2193,酔っ払う) |
6. を([*]1100,[1]) |
7. 見(2413,[1464,1819],見る)/て(7630) |
8. 見(2411,[1464,1819],見る)/ない(7187) |
9. ふり(1420,[2563,2595,2588,2111,1289],振り)/を(7430) |
10. し(2433,する)/た(7216)/。([P]0110) |
(注)数字は品詞を示す番号であり,(2***)は動詞,(1***)は名詞を示す.