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失敗となる原因(オープンテスト)

本手法で提案した「内と外の関係」の判断規則での失敗の原因として,主に以下の4つがあ げられる.

1.
結合価パターンに全て(*)を含む(15文/46文)

(例文23)彼は原因も治療法もわからない難病にかかっている.(オー プンテスト)



   
Table 25: 形態素解析の結果(例文23)

1. 彼(1710,[23,48])/は(7530)

2. 原因(1210,[2450])/も(7530)

3. 治療(1220,[1985,2006,1035])/法(6280,[1035])/も(7530)

4. わから(2182,分かる)/ない(7187)

5. 難病(1100,[2419])/に(7430)

6. かかっ(2184,掛かる)(2184,罹る)/ている(2816)/。([P]0110)




   
Table 26: 意味属性(例文23)

難病

[/1名詞/1000抽象/1235事/2304自然現象/2385生命現象/2413健康・不全/

2415不 全/2416 病気/2419 病気類]




   
Table 27: 結合価パターン(例文23)

◯分かる

N1が N2と 分かる

[ N1(*) N2(*)]

 
N1が N2に 分かる

[ N1(1210業績 2451結果) N2(3主体)]

[ N1(1037創作物) N2(4人)]

[ N1(2701未来) N2(3主体)]

 
N1が N2に N3で 分かる

[ N1(1002抽象物(精神) 1236人間活動) N2(3主体) N3(1064言葉)]

 
N1が N2に N3と 分かる

[ N1(*) N2(3主体) N3(*)]

 
N1に N2が 分かる

[ N1(3主体) N2(1030要点)]



例文23では,述部「分かる」の結合価パターン「N1(*)が N2 (*)と分かる」のように,結合価パターンに全て(*)を含むた めに失敗する.

ここで,(*)はどの意味属性でも当てはまることを意味するので, 「外の関係」と判断すべきところを,「内の関係」と判断してしまう.こ のような例については,結合価パターンの精度向上に依存するか,新たに 規則を作成する必要があると考えられる.

2.
結合価パターンが日本語語彙大系に未登録(5文/46文)

「並外れる,知り合う,一見する」のように日本語語彙大系に登録されていない もの.その内,「一見する」のように日本語語彙大系に未登録のサ変型動 詞 については,「する」の結合価パターンを用いて「一見をする」と変換して用い ることで解決できると考えられる.

(例文24)その寺の庭は一見する値打ちがある。(オープンテスト)



   
Table 28: 形態素解析の結果(例文24)

1. その(4200,其の)

2. 寺(1100,[454,377])/の(7410)

3. 庭(1100,[889,423])/は(7530)

4. 一見する([*]2637,[1])

5. 値打ち(1100,[2532,2590,2441])/が(7410)

6. ある(2186)/。([P]0110)




   
Table 29: 意味属性(例文24)

値打ち

[/1名詞/1000抽象/2422抽象的関係/2507状態/2508様相/2532 是非]

[/1名詞/1000抽象/2422抽象的関係/2585 数量/2587 量/2590 値・額]

[/1名詞/1000抽象/2422抽象的関係/2432 類・系/2441 等級]




   
Table 30: 結合価パターン(例文24)

一見する … パターン未登録


また,「知り合う」のような複合動詞については,「知る」の結合価パターンを 用いることで解決できると考えられる.

3.
形態素解析の失敗(19文/46文)

(例文25)電車の乗客は座席に寝そべっている酔っぱらい を見て見ないふりをした。(オープンテスト)


   
Table 31: 形態素解析の結果(例文25)

1. 電車(1100,[988])/の(7410)

2. 乗客(1100,[160])/は(7530)
3. 座席(1100,[2612,460])/に(7430)
4. 寝そべっ(2184,寝そべる)/ている(2817)
5. 酔っぱらい(2193,酔っ払う)
6. を([*]1100,[1])
7. 見(2413,[1464,1819],見る)/て(7630)
8. 見(2411,[1464,1819],見る)/ない(7187)
9. ふり(1420,[2563,2595,2588,2111,1289],振り)/を(7430)
10. し(2433,する)/た(7216)/。([P]0110)

例文25の場合,底の名詞は「酔っぱらい」であるが,形態素解析の結果では, 「酔っ払う」という動詞で判断したため,本手法が適用できなかった.こ のような例については,形態素解析の向上,または,漢字入力により解 決できると考えられる.

\framebox{酔っぱらい(2193,酔っ払う) $\Rightarrow$\space 酔っ払い(1410)}

(注)数字は品詞を示す番号であり,(2***)は動詞,(1***)は名詞を示す.




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2002-03-06