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結合価文法

結合価文法による翻訳では,結合価パターン(以下「パターン」とする)を用いて訳語 を決定する. パターンは,用言を中心に意味的に必須の格要素(名詞+助詞)を記述したものである. この意味的関係の記述により用言と名詞の間に意味的な制約が生まれ, 日本語解析で発生する意味上の多義が解消されると考えられる.

本研究では,日本語語彙体系[11] に記載されている「構文意味辞書」のパターンを用いる.パターンは表 1のように,各見出し語の用法ごとに日本語文型パターンが登録さ れており,それぞれに英語の文型が1対1対応で登録されている. 各動詞(用言)は用法ごとに,各見出し語につき 1つ以上のパターンが登録されており,全体では14,000件のパターンが登録さ れている.表1に動詞『送る』を見出し語とするパターンを例示する. 表1の例で変数『$N$』は体言が対応す る.また,かっこ内は一般名詞意味属性(以下「意味属性」とする)であり,対応 する体言を制約する.(意味属性『*』は制約なし)


表 1: 結合価パターン対の例
日本語文型 英語文型
$N$1(人)が$N$2(休暇)を送る $N$1 spend $N$2
$N$1(人)が$N$2(生活)を送る $N$1 live $N$2
$N$1(主体)が$N$2(使者・探偵or団体)を$N$3(主体or場所)に/へ/まで送る $N$1 dispatch $N$2 to $N$3
$N$1(主体)が$N$2(*)を$N$3(主体or場所)に/へ/まで$N$4(通信機器)で送る $N$1 send to $N$2 $N$3 by $N$4
$N$1(人)が$N$2(人or乗物)を$N$3(場所or場)に/へ/まで送る $N$1 see $N$2 to $N$3
$N$1(主体)が$N$2(主体)を$N$3(建造物or場所or場)で送る $N$1 see $N$2 off at/in $N$3
$N$1(主体)が拍手を$N$2(*)に送る $N$1 appaud $N$2
$N$1(主体)が声援を$N$2(主体)に送る $N$1 cheer up $N$2
$N$1(主体)が$N$2(語or文字類)を$N$3(文・句・語or記号(言語))に送る $N$1 add $N$2 to $N$3
$N$1(主体)が$N$2(抽象)をテレックスで送る $N$1 telex $N$2
$N$1(主体)が$N$2(合図)を$N$3(主体)に送る $N$1 give $N$2 to $N$3
$N$1(主体)が$N$2(主体)に賄賂を送る $N$1 bribe $N$2


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平成15年5月19日