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5.1.1 動詞の訳語選択への有効性

表2よりALTの正解率(評価○と△の合計)がデフォルトの訳語に比べ34%高かっ た. このことから動詞の訳語選択において結合価文法の効果が有ったと言える.

ここで,各動詞に登録されているパターン数と正解率の関係について考える. 多義の少ない語であれば,その訳語を使い分けるために多くのパターンを登録 する必要はない.逆に多義の多い『ある』のような語に対してはパターンを多く登 録する必要がある.よって訳語を細かく使い分けるにはパターンを追加す る必要があるが,パターンが多いと選択が困難になるという問題を抱えること になる.

そこで,各動詞に ついて登録されているパターンの数ごとに動詞を分類し,パターンの数による 訳し分けの精度を調査した.結果を表4に示す.

その結果から,パターン数が0個の動詞,つまりパターンが未登録の動 詞の誤り率(評価×)が22%であるのに対して,パターンが登録されている場合 には約半分となっ ていることが分かる.このことからも,結合価文法を用いることで動詞の訳語選択の精度を上 げることができると言える.しかしパターンが登録されているものについても, パターンが多くなると文に対応したパターンの選択に失敗し,訳語選択に 失敗するという傾向が見られ,今後,不足するパターンの追加と共にその選択 方法も問題となると考えられる.


表 4: パターンの数別の正解率
パターン数 0個 1〜5個 5〜10個 11個以上
50% 48% 56% 50%
28% 43% 37% 37%
× 22% 9% 7% 13%



平成15年5月19日