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名詞の訳語選択方法

次に日本語パターンの意味属性から,対応する名詞の訳語が絞り 込まれる様子について説明する.パターンには『$N$1(場所)』といった体言 $N$に対する制約が記述さ れている.よって『$N$1(場所)』とあれば,$N$1は意味属性<場所>配下の意味属 性に制限される.本研究で扱う名詞は, 単語辞書において,名詞の見出し語,その名詞が持つ意味 属性と対応する英訳語が記述されている.よって意味属性が制約 されることにより訳語を決定することができると考えられる.

具体的な例を挙げて意味属性による名詞の訳語の絞り込みについて説明する. 名詞『家』には前述したALT-J/Eの辞書にお いて,3つの意味属性<家族>,<居住施設>,<家屋(本体)>が記述されている. そしてそれぞれ,意味属性<家族>には英訳語『home』が,<居住施設>,< 家屋(本体)>には英訳語『house』が付与されている. ここで前項の例文「彼は友人を家まで送った」を考える.前述した通りこの例 文にはパターン『$N$1(主体)が$N$2(主体)を$N$3(場所 )に/へ/まで送る』が適用される.このパターンから名詞『家』は 『$N$3(場所)』の意味属性に制限される.ここで名詞『家』の3つの意味属性の うち,この制約によって残るのは,『図3』に示すように<居住施設>だけと なる.よって名詞『家』 の訳語は意味属性<居住施設>に付与されている『house』に決定される.

以上の手順より動詞と名詞の訳語が決定するので,結合価文法を用いることに より動詞と名詞の訳語選択に効果があると考えられている.

図 3: パターンによる名詞意味属性の絞り込み
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平成15年5月19日