表2: 時間副詞の分類表 | |
属性 | 属性値 |
設定時 | 事象時, 参照時 |
基準時 | 絶対表現, 相対表現(発話時,内容時), 不明 |
基準時とのテンス | 以前, 以後, 同時 |
時間区間 | 時点, 開始時, 終了時, 間隔 |
c.基準時とのテンス
基準時が相対表現の場合には,基準時から見た設定時とのテンスを以前、以後,
同時関係に分類する.「昨日」,「明日」,「今日」は,発話時基準でそれぞれ以前,
以後、同時を指す.
d.時間区間
時間副詞が表す区間を,時点を明示する表現,開始時・終了時のみを明示する表
現、間隔を明示する表現に分類する.「翌日に」,「翌日から」,「翌日まで」
は,それぞれ時点,開始時,終了時を指す.間隔を明示
する表現には,「3日間」などがある.
その他に、「よく」や「いつも」,「3日おき」や「毎日」のよう
な習慣,反復を表す副詞も対象とする.
4.1節で得られた時間関係は,特定の時間副詞を伴った場合に詳細化できる.
「動作動詞 + テイル」において,時間副詞から時間関係を詳細化する規則
を表3に示す.
表3は該当する時間副詞の属性と,文全体が表すアスペクト、そして特定された
時間関係からなる.なお表中の空欄は,特に指定する必要がない場合である.3つの規則そ
れぞれに例文を示す.
表3: 時間関係決定規則 (動作動詞+テイル形) | ||||||
設定時 | 基準時 | テンス | 時間区間 | 文の アスペクト | 時間関係 | |
規則 1 | 事象時 | 相対表現(発話時) | 以前 | 開始時 | 発話時までの動作継続 | E(P)→ R=S |
規則 2 | 事象時 | 間隔 | 発話時までの動作継続 | E(P)→R=S | ||
規則 3 | 事象時 | 相対表現(発話時) | 以前 | 時点 | 過去の動作の結果 | E→R=S |
一般に「動作動詞+テイル」は,発話時点における動作の継続を表す.しかし,
例文13,14のように,開始時や間隔を表す時間副詞を伴った場合は、ある過去時から発話時までの「走る」という動作の継続を表す.
また,例文15のように,過去のある時点を指す副詞を伴った場合は,
その時点で完了した動作の結果が発話時まで継続
していることを表す.