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本稿では,日本語時間表現の英語への翻訳を,以下の手順に沿って行う.
(1) 時間関係の抽出
テンスの過去,非過去,現在,未来を表す一般的な語尾形式「タ」「ル」「テ
イル(テイタ)」「ル+ダロウ」の場合について、日本語時間表現から時間関係を
抽出する.抽出された時間関係を,発話時,事象時,そして,Reichenbach[3]によって導入
された事象を捉える時点である参照時の,3つの時点の関係として表す.参照
時を導入すること
で、動作継続と結果継続の区別が可能になる.その際,日本語動詞と時間副詞を時
間的性質によ
り分類し,時間関係を特定する手がかりにする.
(2) 中間表現を介した時間表現の翻訳
日本語側から抽出した時間関係を,英語の枠組みの中で捉え直すた
め,
英語側からも現在形,過去形,未来形,進行形,完了形があらわす時間関
係を発話時,事象時,参照時からなる時点の関係で表す.翻訳は,両言語から得られた時間関係の対応づけにより行う.
(3) 制約条件を用いた時間表現の修正
英語側の用法によって時間表現に違いが現れる場合があるため,
結合価パターン[4]を用いて用法の推定を行い,文法的に正しい時間
表現に修正する.例えば、進行形は,一時的な動作を表す場合に用いられ、長期的
な動作や状態を表す場合には用いられない.そこで,結合価パターンを調べ,長期的な動作や状態
をあらわす用法の場合は,進行形から単純形への修正を行う.
以降では,語尾形式が「ル」をとるものをル形,「タ」をとるものをタ形,同様に
テイル形,ダロウ形と表記する.
平成13年11月22日