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テイル(テイタ)形について

(1)正解率について

テイル(テイタ)形については,一意正解率が65.0%と,最も低い結果となった.日本 語のテイル形は,英語では,現在進行形,現在完了形,単純現在形など様々に訳されるた めである.なお,テイル(テイタ)形の実験データ100文で,最も頻度の高かった英語時間 表現は,単純現在形(テイタ形では単純過去形)であり,100文すべてを単純現在形(単純過 去形)と翻訳した場合、正解率は56.0%になる.

(2)結合価パターンの効果について

英語側の動詞の推定に結合価パターンを用いることで,正しい英語時間表現に翻 訳できた文が,100文中23文存在した.以下に例を示す.
(例文21) あいにく店は閉まっていた.
To my disappointment,the shop was closed.
正解 : 単純過去形
選択した訳 : 単純過去形

例文21がマッチした英語文型パターンは,「N1 be closed」 となるため,6.3節の制約条件から単純過去形と翻訳した.

しかし,結合価パターンを用いたために,誤った英語時間表現に翻訳した文も3文存在 した.

(例文22) 連日の雨で大会関係者は頭を
痛めている.
This spell of rainy days is giving the organizers of the tournament a big headache.
正解 : 単純現在形
選択した訳 : 現在進行形

例文22では,実際の英語時間表現は,現在進行形となっているが,結合価パターンか ら得た英語動詞は,「N1 be worried about N2」(状態)となるため,単純現在形と翻 訳した. 結合価パターンでは,「大会関係者」が頭を痛めているという状態を捉えているの に対して、実際の訳では,「連日の雨」が「大会関係者」に頭痛を与えている という動作を捉えているため,誤った時間表現を選択した.しかし,この2文の 違いは,主格が「連日の雨」か「大会関係者」 かの違いであって,現在形で「N1 is worried about N2」と訳しても間違いではないと思われる.


平成13年11月22日