『木の手前にボールがある』
例3の場合、2対象物は「木」と「ボール」で、「木」が基準対象物であり、方向 提示語句は「手前」である。
1)まず方向を決める。「手前」という方向概念は対象自身がもともと持つこと はありえないので、観察者の視点を導入することによって、基準対象「木」に対 して「手前」という方向が決めることができる。
2)動詞「ある」からは、2対象間の位置関係に関する情報は得られない。
3)したがって、「手前」に対して方向領域と距離特性の概念を適用し、基準対象 「木」に対して「ボール」の存在し得る領域が得られる。
4)「ある」からは、対象の状態に関する情報が得られないので、対象の特徴 に注目する。「ボール」は支持されて存在するという存在特性を持つことから、 ここまでに得た「ボール」の存在しうる領域に対して、「木」の「手前」に広が る空間の空中に存在することはないと判断できる。
この結果、位置関係は以下のように判断される。
「木と観察者の間の空間の中の「木」の近くにボールが支持されて存在している」
(位置関係パターン:acabaab)