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翻訳形式の精度評価実験からの考察

実験では翻訳形式の精度は82%であったが、理由として本稿では分類するとき に日本語側の複合動詞単体だけの情報で分類しており、英語側の情報や複合動 詞が使用されている文中の動詞以外の情報などは用いていないことがあげられ る。そこで、これらの情報も用いて分類を細分化すれば翻訳精度はさらに向上 するのではないかと考えられる。

翻訳形式と一致した複合動詞、不一致であった複合動詞の例と不一致の原因を 以下に示す。
○降り始める=start falling → 「start doing」 → 翻訳形式とは不一致
○鳴らし始める=begin ringing → 「begin doing」 → 翻訳形式と一致
上記の二つとも「〜しはじめる」という複合動詞の訳語形式である。 本研究では頻度の高いものを翻訳形式と決定したので「begin doing」のほう を翻訳形式として決定したが、「start doing」も翻訳形式になりえることは 明らかである。しかし、「begin」になるか「start」になるかは複合動詞がと る主部の情報をもちいなければ判別することはできないと考えられる。そのた め本研究で作成した分類表では対応できない。この点より、前方動詞、後方動 詞の分類だけでなく第3の要素を用いて分類を細分化していかなければならな い。

また、「〜し始める」には「begin to do」という形式になる複合動詞もある が「to do」か「doing」となるかは英語側に依存しており、あらかじめ動詞の 翻訳辞書にどちらになるかを登録しておけばこの問題は解決できると考えられ るので本研究ではどちらも翻訳形式として採用した。



MatobaKazuyuki 平成11年4月16日