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日本語複文は、英語では、関係節、同格節、前置詞句などさまざまな表現に訳されることが多く、
これを正しく訳し分けることは、日英機械翻訳の重要な課題の一つとなっていた。
日本語複文の意味的構造を英語の構造と対比して分類できれば、翻訳精度の向上につながると期待できる。
従来の複文の分類方法として、
山田1)は、底の名詞(英語では先行詞に相当する)と修飾部の格関係の種類に応じて複文を分類したが、格関係を含まない複文も存在する。
そこで、寺村2)は、底の名詞が連体節内で格関係を有するか否かに着目して、
複文を「内の関係」と「外の関係」に分類した。しかし、日英機械翻訳では、これらの分類では、英語表現が一意に決定できない点が問題であった。
そこで本稿では、
動詞及び節が底の名詞(英語では先行詞に相当する)を修飾する連体節を含む文を取り上げ、
複分の意味的構造を、内と外の関係、修飾部の陳述度、底の名詞の抽象度、格関係に着目して分類を行う。
具体的には、
まず、日本語の「内」・「外」の関係より英語の「関係節」・「同格節」に、また日本語の修飾部における陳述度「大」・「小」より英語の「節」・「句」に対応させ、複文全体を4つに分類する。
そして、「内の関係」については、底の名詞と修飾部の格関係に基づき12に下位分類し、
「外の関係」については、底の名詞の抽象度と修飾部の陳述度に基づき4つに下位分類する。
そして、この日本語複文の分類における有効性を、「日英機械翻訳機能試験文集」3)(6,183文)より抽出した複文432文を用いて検証する。
以下、第2章では、日英言語における複文構造の違い、
第3章では、内と外の関係および陳述度の定義、
第4章では、分類の考え方と方法、
第5章では、結果と考察、
第6章では、今回の結論を述べる。
MatobaKazuyuki
平成11年4月23日