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提案したルールについての考察

提案したルールに対しての考察を次に述べる。
1.
ルール2:抽象度の差
失敗例を以下に示す。

13#13 (3)

例において、形容詞「若い」は単に名詞を修飾し情報を加えるだけでなく、「人間」のカテゴリを分類する形容詞である。従ってカテゴリとして見た場合に、「サラリーマン」と「主婦」は全く同等であり、抽象度の差だけでは係り先を決定できないと考えられる。
2.
ルール3:「こと」「もの」
ルール3は、抽象名詞の「こと」「もの」に対してのみでなく、上位概念語にも適用できると考えられる。以下に例を示す。

14#14 (4)

例において、上位概念語である「木」や「人間」が名詞Bに比べ非常に含有情報量が少ないために、形容詞の修飾を独占し、形容詞との強固な結合力を持つために、A係りになると考えられる。
3.
ルール4:意味距離の差
名詞Aと名詞B間の意味距離に関して、A係りとA&B係りにおいて期待した特徴が見られない理由として形容詞の観点が考えられる。

形容詞の観点とは、例えば名詞「猫」と「ネズミ」では、 形容詞の観点「大きさ」においては、名詞間の意味距離が大きいと考えられるが、 観点「速度」においては意味距離が小さいと考えられる。 従って形容詞の観点により、名詞間の意味距離に多大な影響を及ぼすと考えられ、 観点の考慮なしの単なる意味距離だけでは、A係りとA&B係りの間に明確な閾値を得られず、係り先を決定できなかったと考えられる。



MatobaKazuyuki 平成11年4月16日