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「数の概略」

クローズドテストにおいて「数の概略」、「約」・「前後」・「程度」の正解率は すべてデフォルト値よりも20%以上の上昇した正解率を得られた。また、オープ ンテストにおいても全て100%の正解率が得られた。これより、本研究で考案し た「数の概略」の翻訳規則は新聞記事、機能試験文集において有効であると考え られる。以降、「数の概略」各接頭・接尾辞の考察、成功例、失敗例を記す。な お、失敗例の○は対訳コーパス、×は本研究の翻訳方法を示すとする。

「約」の考察
接頭辞「約」の翻訳規則は本研究で研究対象とした全接頭・接尾辞のうちでもっと も頻度が高い( 20%以上)接頭・接尾辞である。また、オープン・クローズド テストともに73.4%、100%と高い正解率を得られることができた。今後は訳の 候補の中でも頻度、訳語選択を失敗する確率が共にたかい「訳が省略される」条 件について考えていく必要がある。

成功例: 一七%のシェア → share of approximately 17%  
  十七%の精細度1.00のため、規則Cより''approximately''  
失敗例: 百五十億円の事業規模  
 
○ the business scale of approximately fifteen billion yen
× the business scale of about,some,roughly,省略 fifteen billion yen
 
  精細度が0.18のため、規則Cより'' approximately''は本研究の翻訳規則に適さない  

「前後」の考察
接頭辞「前後」の翻訳規則は本研究で研究対象とした全接頭・接尾辞のうちでもっ とも正解率が高い(87.5%)。これは、「前後」の翻訳規則が頻度の高い'' around''、''about''を無条件に正解とみなしていることが原因だと考えられる。 今後は''around''、``about''の訳仕わけについて考えていく必要がある。

成功例: 五十万円前後の普及型PPF → around ¥500,000 in standard PPF
  規則Bより''around''は正解
失敗例: 二十五%前後に落ち込む見込み
 
○ expected to fall roughly 25%
× expected to fall about,around,approximately 25%
  精細度が1.00のため規則Cより''roughly''は本研究の翻訳規則に適さない

「程度」の考察
接頭辞「程度」の翻訳規則は「約」、「前後」に比べて正解率が最も低い。これは 「程度」が訳の候補の中で頻度の高い「訳が省略される」の頻度が高く、正解率 が低いことが原因である。これより「程度」も「約」同様、「訳が省略される」 条件について考えていく必要がある。

成功例: 一・五%程度に下がる → falls to 1.5%
  直前が前置詞のため規則Cより、「訳は省略」
失敗例: 全体の厚さは200ミクロン程度
 
○ The total thickness is somewhat 200 microns.
× The total thickness is about,around,approximately 200 microns.
  ``somewhat''は「程度」の翻訳規則の訳語候補ではない


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平成13年5月10日