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規則B:接頭・接尾辞の固有の規則


規則Aが「数の概略」を表す表現の意味的な分類の基づき翻訳方法を規定しているのに対して,規則Bは,それぞれの接 頭・接尾辞(「前後」、「程度」)に対して個別に設けられた規則である。規則Aで適用を受けた表現でも,規則Bの 適用を受ける。以下に、「前後」、「程度」に対する翻訳規則を示す。

「前後」の翻訳方法
接尾辞「前後」の訳語として,”around”を与える。これは,対訳コーパスの例で,概略の数値を示す接 頭・接尾辞「約」、「程度」の場合と比べて,「前後」では,``around''と訳される頻度が高いことによる。なお,こ の訳は,規則Cの適用の結果,見直されることがある。

「程度」の翻訳方法
「程度」の意味には以下の2種類がある[9]。

(1)「程度の大小が物事の適否にかかわること」
例:砂糖を10kg程度ならあげる。
(2)「ちょうど適当と考えられる度合」
例: 今年の予算は1500円程度で済む。

対訳コーパスでは,(1)の意味の時は,「only」が使用されているが,(2)の意味の場合は,訳語として複数の候補が存 在する。そこで,(1)の意味の場合のみ訳語を"only"とする。(2)の意味の場合は,訳語を生成せず,規則Cの適用を待 つ。
なお,「約」は「数の概略」を表す接頭辞の中で最も使用頻度が高いが,その用法も多彩でユニークな訳語決定は難 しいため,規則Bは設けず,複数の解を生成する規則Cを適用する。
 


平成13年3月22日