テスト文による評価結果では,「こと」との交替についてはほぼ正解しているの に対して,「もの」「ひと」の交替についてはほとんど正解していない.この原 因を考えるために次に例文を挙げる.
(1)の例文は学習用のデータ「もの」と交替する例文である.一方,(2)の例文は テスト用のデータで「ひと」と交替する例文である.この二つの例文を比べると, どちらにも「の」に係る語の主体が省略されており,且つ「のは」という同じ助 詞を伴っている.ここで,「の」の係り先である「芝生」と「新聞屋さん」に着 目すると,それぞれ意味属性は423(庭園),374(企業)で異なっている.しかし, 参照ベクトルは1301(嫌悪)となっており,この値からの距離は等しくなってしま う.これを改善するためにはベクトルの要素に対して重みを付与する必要がある が,ある次元に対して均一に重みを付与するのではなく,意味属性に対して重み を付ける必要があると考えられる.