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あとがき

本稿では「形容詞+名詞+助詞+名詞」を対象に意味属性を用いた係り受け解析 を行い,その有効性を調査した.まず,助詞によって「形容詞+の型名詞句」と 「形容詞+並列型名詞句」とに分けた.「形容詞+の型名詞句」の係り受け解析 では,「形容詞+名詞」の結合力から係り先を決定した.このとき,字面での解析 と意味属性による解析を段階的に行うことで精度が向上することが分かった.実 験の結果,正解率は79%であった.次に,「形容詞+並列型名詞句」では,抽象度か ら係り先を決定した.このとき,係り受け解析に必要な意味属性だけを選択し,シ ソーラスを再構築することで,精度の向上と意味属性の圧縮を行った.実験の結果, 意味属性数が2716から94に減少し,正解率は92%であった.以上より意味属性が形 容詞を含む名詞句の係り受け解析にある程度有効であることが分かった.今後は 文法的情報を用いたり,例外処理を加えるなどしていきたい.




Noboru KURUMAI
2001-03-20