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意味属性を用いた訳語選択


「意味属性」とは、「ある単語が意味的にどんな使われ方をするかと いう意味的用法を整理し、体系化したもの」(池原 他 1997)である。 単語の「意味的用法」は単語の語義から派生することを考えると、 実際に使用された文中での単語の「意味的用法」がわかれば、その 単語がどの語義で使用されたか 判断できる可能性がある。従って、意味属性は訳語選択に役立つと 期待できる。

例えば、「犬」という日本語名詞には''dog''、''spy''という 2つの英訳語があり、それぞれ[獣]、[スパイ]という意味属性を持つ。 そこで「犬」という単語が使われている日本語文を解析し、その単語の意味 属性が決定できれば 対応する英訳語を決定できる。つまり、「犬」の意味属性が[獣]と決まれば ``dog''が、[スパイ]と決まれば''spy''が選択される。一方、「えさ」 という日本語名詞の英訳語''feed''、''bait''はどちらも[飼料]という 意味属性を持つ。これは、日本語では同義として扱うが英語では使い分け があるために複数の訳語が対応する名詞であり、日本語から見た場合「 意味的用法」に違いが無いため意味属性による訳し分けはできない。

なお、一般に意味属性は1つの単語に対して複数付与されているが、 今回の研究では日本語文の解析によって一意に決まると仮定して検討を 進める。




kirisawa
2000-03-19